日本財団 図書館


040-1.jpg

ブロック製作風景

 

清野 このブロックヤードというのは、日本の漁村とか海村、港町、その周辺にたくさん展開されていて、殺風景な場所なので、何か普通の人が行きにくい場所、特に子供とかが海に遊びに行くには何となく雰囲気が悪い場所になる一因になっているわけですよね。

今回、ブロックヤードを見ていただいた理由というのは幾つかあります。こうしたブロックをつくる行為というのは紛れもなく日本の海岸の産業になっていると言う事実があるんです。大体ここで働いている地元の年配の人たちの時給は70円ぐらいでしょうから大体1日4,000円ぐらいで、この地域の大勢の人を雇っているわけです。今日はあまりいないですけれども、天気のいい日とか、工事が盛んな時期には大勢の人が来て、このプリンの型枠みたいなものにドーッとコンクリートを入れて、下からたがを外してきれいに角をとったりとか、そういう作業をしている光景が見受けられます。

海岸法が変わったりと、沿岸管理に対する意識が今後徐々に高まっていくと思うんですが、一方で、こうした産業で食べている地元の人たちの生活の保護という切実な問題があります。

だから、海岸に置かれたおびただしい数のブロックを見たときには、それだけの人件費がその地域に落ちてきたということを念頭に置く必要があります。そのシステムというのが地域に厳然としてあって、ではそれをどうするのかという議論がない限りにおいては、環境のみの議論ではまったく意味がないのではないかと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION