それを少しでも短く、少しでも効率的に本当に必要なときにそういう対応ができるようにするためには、やっぱり政策とか、それを実施するための法律、あるいは条例でもいいのかもしれませんけれども、そういうものをつくりながらやっていく必要があるのではないかと思います。そういう意味で、2番目に申し上げることとしては、そういう道具立て、仕組みづくりが必要ではないかということです。
それから、3番目に沿岸域の問題ですけれども、これはもういろいろなところで皆さん取り組んでおられますし、また、経団連の方でも海のグランドデザインのようなものを発表されておりますし、いろんなところで取り組んでいることを大きな1つの方向に集めていくような努力がされれば、相当いいところに行くのかなと思っております。しかしながらい今の制度ではちょっとそこが非常に難しい、乗り越えなきゃいけないところがあるような感じがいたします。海岸法の改正で、今までの国土保全だけでなくて、環境の問題とか、あるいは利用者の問題、いろいろな観点をつけ加えてやっておられますから、前よりは数段進歩していると思いますし、河川法との連結した運用ということも考えられると思います。それでも沿岸の水域の方との一体性はどういうふうに確保するのだろうかというようなこともあります。海岸法ではなくてやっぱり沿岸域法が必要なのではないかと思います。いずれにいたしましても、ご出席の皆さんの方でぜひ沿岸域の問題をもう1回考えていただければと思っております。
それから、漁業の問題は非常に大事な問題だと思いますけれども、きょうは水産庁の三上さん、ご出席ということでしたが、お見えにならなかったので、余り行政側の方のご意見は伺うことができませんでした。水産基本法が研究されているということも伺っております。この辺の検討に期待したいと思います。
それから、4つと言って5つ目になりましたけれども、環境の問題については、先ほど石さんからもご発言ありました。非常に重要な問題だと思いますが、なかなか具体的にどうしたらいいのかという点につきましては私もまだ勉強不足です。いずれにしても環境か開発利用かではなくて、持続可能な形で海の資源、あるいは海が与えてくれる恩恵を将来の世代に伝えていくためには、環境に対する負荷をなるべく少なくして、今我々が受けているような恩恵を将来の世代に伝えられるように利用していく、これが目標だと思います。そういう環境に配慮して、オーストラリアでは「生態系的に持続可能な」という言葉を使っておりましたが、そういう利用をしていくためにはどうしたらいいか、それをこの私たちの社会の仕組みにどう取り入れていくかということが大変大きな問題ではないかと思います。
以上、2回の研究セミナーを司会させていただきまして感じたことを申し上げました。
ご出席の皆さんには、積極的な参加を本当にありがとうございました。日本財団といたしましては、引き続きこの海の問題、海洋管理の問題を取り上げていきたいと思っております。今年度中にもう1回できるかどうかちょっと難しいのですが、来年度も引き続きまして研究セミナーをやっていきたいと思います。また、その間にもいろいろな情報をまた皆様方にご参考にしていただくようにお送りしたり、あるいは先般ご案内して実施しました海岸巡検のような企画もさせていただきたいと思っております。引き続きよろしくお願い申し上げます。
本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。