本日は、21世紀の海洋の開発、利用、保全を考える海洋管理研究セミナーを開催いたしましたところ、研究、行政、メディアの各方面の海に深い関心を持つ方々に多数ご参加いただきまして、まことにありがとうございます。
ご承知のとおり、本セミナーは、去る7月13日に第1回を開催しまして、今回は第2回でございます。前回のセミナーの報告書は本日資料として配付しております。海洋管理の哲学や、アメリカにおける海洋管理の先進的な取り組みについての講演、その後の質疑応答、討論を収録してあります。非常に示唆に富む内容ですので、後ほど是非お目通しをしていただきたいと思います。今回はその延長上で、さらに海洋管理について深く研究していく場といたしたいと思います。
さて、前回のセミナーの主催者挨拶でも申し上げましたけれども、20世紀後半になって、海洋の汚染、資源の枯渇、生態系の破壊、あるいは利用の競合などさまざまな海の問題が顕在化してきておりまして、人類は歴史上初めて、地球上の7割を占める広大な「海洋の管理」に本気で取り組みを始めました。国連海洋法条約の採択と発効、リオの地球サミットにおける「持続可能な開発」宣言と行動計画アジェンダ21の採択は、その代表的な成果でございます。これによりまして世界の国々、ひいては人類が、海洋の開発、利用、保全に共通の枠組みとルールで取り組むことができるようになり、地球規模で海洋の管理への取り組みがスタートしたのです。
海洋法条約は、沿岸国に距岸200海里までの排他的経済水域における天然資源などについての主権的権利や管轄権を認める一方、海洋環境の保護や保全の管理義務を課しております。各国はこれを受けまして、近年、海洋管理のための法律の制定、海洋政策の策定、そしてこれらを推進するための行政・研究組織の設置・統廃合、それから広範な利用者の意見を反映する手続の制定などを行い、その管轄海域を統合的に管理するために熱心な取り組みを開始しております。これは今、海洋に面した世界の国々にとってはホットな課題でございまして、前回、7月の研究セミナーから今回までのこの短い間にも、海に対する取り組みは世界中で着々と進行しております。我が国は世界でも6番目に大きい200海里水域を持つ恵まれた、また、それ故に責任の大きい海洋国です。海の持続可能な利用に向けまして、日本国内の取り組みはもちろんですけれども、有力な海洋国として地域や世界の取り組みをもリードしていく意気込みが必要だと思います。