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governanceというのは、もっと大きな概念です。managementというのとは違います。managementよりもgovernanceのほうが非常に大きいのだということをわかっていただきたいと思います。

統計を見ていただいております(資料3-1 P52参照)。この海洋、沿岸地域におきます重要なことについて書いてありますが、アメリカも日本と同じです。非常に海洋資源に依存しております。人口の55%までが―日本の場合は80%と伺っていますが―アメリカでは沿岸地域に居住しておりまして、その数は増える一方であります。また、オフショアで石油・ガスが20%ぐらい出てきます。すなわち原油生産の20%、天然ガスの25%までが、海底石油・ガスから出てきているということであります。そしてまた沿岸のツーリズムとレクリエーションは大変に成長している部門であります。日本でもそうだと伺っております。

それからもう一つ、経済的に様々な製品などは、海上輸送によって行われております。そしてまた海上輸送の量は、今後20年間増えるだろうと思われております。私たちはその他に、沿岸漁業についての大きな問題を抱えております。日本も沿岸漁業について問題があると伺っております。乱獲の問題があるということですね。それから生息環境が脅かされています。そのほか、沿岸領域での開発が天然資源に大きな影響を及ぼしているわけであります。そういうわけで、海洋資源、水産資源の将来に対しては、アメリカでは非常に大きな懸念が示されているということであります。

また、いろいろな緊張があります。沿岸政策、海洋政策に対してはいろいろな緊張があります。たとえば航行の自由ということが大事であるという時もありましたし、また、国としても管轄権をこれらの資源に対して持ちたいと思っています。そういうわけで、沿岸国と、それからいろいろな国との間での、海洋に関する緊張もたくさんあるということであります。

また、多くの意味において積極的に国際活動を行なっておりましたが、ときには一方的な形で活動していたこともあります。他の国とは別個の形で、自分の国だけで一方的にやってきたこともあります。そのことについてはまたあとでお話をすることができると思いますが、アメリカでは非常に強い形で沿岸州が大変力を持っております。州のほうでの相当な権限があるということです。ですから、国としての利益と、それからそれぞれの州、沿岸州との間の利益のバランスをとっていかなければなりません。どの国でも、たとえば資源とか経済開発、また環境保護の間には、やはり緊張があると思います。これはバランスをとることが必要であります。また、ある意味では民間部門が公的な意思決定に対しても参加するようになってきております。そしていわゆるNGO、非政府機関などが役割を果たしてきております。そして、政府の意思決定に対してNGOの果たす影響も強くなってきております。笹川理事長もそのようなことを今朝のお話の中で言われたとおりであります。

それでは、米国は海洋政策を持っているのだろうか、沿岸政策を持っているのだろうかという質問についてお話をしたいと思いますけれども、私たちは、包括的な、統合された海洋政策は持っていないというのが答えであります。ちょうど日本と似ているかもしれませんね。私たちとしては、この問題については何とか対応しようとしております。この30年間の間、アメリカでは何とかこれをきちんと管理をしようという努力をし続けてきたわけであります。また、日本やその他の国と同じような問題を持っています。いろいろな法律を、規制とか政策を別個に導入してきました。

 

 

 

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