第三は、自殺と自殺防止。さっきも言われましたやっぱり一年間に3万人以上が自殺するのは大変なことですから、それは第三のテーマ、とくにいじめ問題もそこで取り扱う。で、第四は、交通安全教育ですね。今、なぜ毎年1万人が交通事故で死ななければいけないかということ。そして第五としてエイズ教育ですね。ちょうど一週間前に新聞に出てましたが、このままで続きますと日本は近いうちにエイズ患者が4倍増えるそうです。ですから、私は、いつも避けられない死と避けられる死を区別したいんですね。たとえば今、日本の医学はあれほど進歩しても、癌によって亡くなるパーセンテージはまだ上がっています。ですからそれはある意味で避けられない死です。だけども、自殺による死、それは必ずしも避けられるとは言わないですけども、時々避けられると思います。あるいはとにかく交通安全によって、私たちは交通事故を大幅に減らすことができるのと同じように、エイズによる死は避けられる死だと思います。
ですから、そういうことはできれば、私も上智大学でときどき体験者を呼びます。たとえば息子が自殺したおとうさんを呼んで、私の死の哲学でも、あるいは死への準備教育のいろいろな研究を話して、インパクトがいちばん深いのは体験者が話すことです。たとえば、息子が自殺した、あるいは息子、あるいは娘が交通事故で亡くなったとか、ペンが落ちても聞こえるように学生は聞こえるんですね。
で、一人の具体的な例ですが、死の哲学で、息子が自殺したおとうさんの、半年後で、一人が学生が死にました。私もそのときはまじめに自殺を考えた、けど、そのおとうさんの悲しみ苦しみを聞いたときは、もう絶対自殺できないです。ですから、言い換えれば、自殺を考えることは、極端にいえば、自分の問題を考えることが多いんですね。
今、コペルニクス的な展開のように、あえておとうさん、おかあさんの悲しみ、苦しみを聞けば、これはいちばん自殺防止に効果的だと思いますね。
だから、そこで医療従事者として、定年退職した医者と看護婦でもまだできるんじゃないかと思います、これから教育のなかで、学校のなかで、年に1回だけでもやったらどうかと思いますね。
永石 ありがとうございました。
時間が残り少なくなってきましたけども、皆さん、これだけはぜひ皆さんに考えてほしいというようなことは、堂園さん、どうぞ。