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国際会議報告

 

本会は昭和46年度以来「造船技術に関する国際会議出席」に対し、日本財団より多額の補助金を下附されているが、以下は補助金により出席した国際会議の出席報告であり、広く会員に報告するとともに、同財団に深く感謝の意を表します。

 

第22回 国際試験水槽会議(ソウル―上海)報告

 

試験水槽委員会

 

1 会議概要

加藤洋治(東洋大)

 

第22回国際試験水槽会議(The 22nd International Towing Tank Conference, ITTCと略称している)は韓国試験水槽会議と中国試験水槽会議の共同主催で、平成11年(1999年)9月5−11日の間、韓国のソウルと中国の上海で開催された。会議の前半はソウルのロッテ・ホテルで開催され、中日の8日に上海に移動し、会議の後半がShanghai Worldfield Convention Hotel (上海世博会議大酒店)で開催された。このような2カ国での共同主催は大変珍しく過去に1度、第7回がノルウエーとスウェーデンで1954年に開催された例があるだけである。

会議は5日、日曜日の午後の評議会(Advisory Council)と理事会(Executive Committee)の会合から実質的な日程が始まった。図1−1のプログラムに見られるように、実質4日間の会議なので毎日4ないし5つの技術委員会の報告と、それについての審議が行われ、かなりタイトなスケジュールである。

ITTCの技術委員会の構成は3年前の21回の時に大幅に変更され、それまで9つあった常設の技術委員会は抵抗技術委員会(Resistance Committee)、推進技術委員会(Propulsion Committee)、操縦性技術委員会(Manoeuvring Committee)、耐航性技術委員会(Loads & Responce Committee)の4委員会のみになり、11の特設技術委員会(Specialist Committee)が新たに設置された。これらの特設技術委員会はその時々の重要な技術的問題を取り上げ審議するもので、原則として1期3年の任期である(必要に応じてもう1期延長することができる)。委員の人数は技術委員会で8−9名、特設技術委員会で6−7名が原則である。

会議ではそれぞれの技術委員会に対応してセッションが設けられて、委員会の3年間の成果の報告とそれに対する討論が行われ、勧告が提案される。勧告は最終日の全体会議で採択され、ITTCの活動指針となり、また次期の技術委員会のタスクとなる。

会議の出席者は26カ国、184名で、国別の人数を表1−1に示す。日本からの出席者が43名と他を圧して多く、それに続いて主催国の韓国、中国の順である。ITTCにこれまで関係のなかったイランから3名が出席して注目を浴びた。イランも長い海岸線を持つ国であり、この方面の研究を発展させたいとのことである。

 

表1-1 参加者数一覧

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日本からはこれまでのITTCで活躍された、元良先生ご夫妻、竹沢先生、横尾さん、田村さんご夫妻などが出席され、うれしい限りであった。ちなみにITTCはそれぞれの機関がメンバー(現在は112機関)であり、参加者は機関の代表、技術委員会の他は、特に招待された方のみであり、日本からの参加者が多いということは、とりもなおさず船舶・海洋流体力学における日本の重要性を示している。

 

 

 

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