はじめに
本報告書は、日本財団の調査研究事業として「盲導犬に関する調査」委員会が設置され、わが国における今後の盲導犬普及と育成事業発展のためにどうすればよいかを研究し、まとめたものであります。
わが国の盲導犬育成・貸与事業につきましては、これまで社会福祉関係法令に何ら直接的な規定がなく、実態のみが先行してきてしまった感が強く伺えてなりませんでした。それが今、社会福祉基礎構造改革の一つとして、社会福祉法等に法定化されました。盲導犬事業の先進国に、大きく遅れをとってしまっているわが国の実状を飛躍的に進展させるためには、この時期を逸してその機会は今後訪れないとさえ思えてなりません。そういった意味では、今回の研究は時機を得た画期的なものであると思います。
このような盲導犬の普及・発展にかかわる問題を構造的に解明し、盲導犬とその事業促進のための資料とすることを目的に、盲導犬訓練施設、盲導犬訓練士、盲導犬使用者、盲導犬元使用者、盲導犬希望者、一般視覚障害者に対してアンケートを実施しました。このような盲導犬に関する課題で、全国的にアンケート調査を実施したのは初めてであり、意義深いものと考えております。
アンケート調査から、(1)盲導犬訓練施設の供給体制の改善、(2)盲導犬に対する意識の向上、(3)盲導犬の快適な利用環境の構築などの問題点と課題が浮き彫りにされました。さらにそれに引き続き、これらの問題点と課題を具体的にどう解決し実現していけばよいかについて、課題別に三つの作業部会を設置し、分科会方式で検討を深めることによって一定の成果を得ることができました。
一連の研究にあたりましては、分科会の開催と進行、報告書のまとめにいたるまでご尽力頂いた三つの作業部会の各座長をはじめ、委員の皆様方のご協力に対して深く感謝しこの場にてお礼申し上げます。
最後になりましたが、このような研究事業を取り上げてくださいました日本財団に対しまして深く敬意を表しますとともに、衷心より厚くお礼申し上げます。
この研究成果が、わが国における盲導犬の普及とその事業の発展の一助になることを祈念しております。
日本財団「盲導犬に関する調査」委員会
委員長 日比野清