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ご挨拶

 

日本財団は1962年設立以来、様々な福祉への支援を事業の主要な柱の一つとしております。高齢者や障害等を持つ方々に如何に楽しく生きがいを持ってお過ごしいただくかを、常に念頭にニーズに取り組んでまいりました。

1998年、私たちは視覚障害者の外出歩行時に誘導の役割を果たしている盲導犬に着目し、その現状と課題、そして今後のあるべき方途についての調査に着手いたしました。スタートにあたり、盲導犬飼育施設、視覚障害者団体、盲導犬使用者、訓練士、学者、その他現在わが国における盲導犬に関する有識者の方々を結集した委員会を設置することが出来たことは、まことに幸運なことでした。2年間に、委員会9回、作業部会延べ13回と、委員の方々が精力的にご協力下さいましたことに、心より感謝しております。特に初年度に行いました盲導犬に関するアンケート調査は、わが国で初めて行われた全国を対象にした規模となり、需要と供給等の実態をはじめ、各分野の問題点、今日的課題を明らかにし、今後の日本における盲導犬の普及促進にお役に立てましたことは、本当に嬉しく思います。

盲導犬が欧米より移入されてから約35年、現在の実動数約850頭に対し、潜在需要は約7800名(本調査結果による)と推計され、また特筆すべきは、使用者の90%以上が歩行の利便性と自由度が高まったと満足していると共に「孤独感がなくなった」「生きがい」などの精神的充足感を挙げておられることです。今後の普及促進の重要性を認織させられるとともに、盲導犬の貢献を証明するところとなりました。

期せずして、本年5月29日通常国会において「社会福祉事業等の一部改正の法律案」が成立し、法律の新名称「社会福祉法」の中で、盲導犬育成事業が社会福祉事業として初めて加えられ、2001年4月より施行されることとなりました。関係者にとっては遅すぎた感はあったとしても、皆様の長年のご努力が報われたものであり、これをひとつの契機として、更に前途明るい新たなる出発をされることを願ってやみません。

最後に本調査にご尽力頂いた委員の皆様はじめ、ご協力いただいた多数の方々に、報告書発行にあたり、謹んで御礼を申し上げます。

 

日本財団

会長 曽野綾子

 

 

 

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