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しかしながら、従来の第II-2章の定義を高速船コード改正案の定義に換えると、第II-2章の規則内容の変更が余儀なくされる場合もあると考えられる。そのため、CG内では本件は最終合意に達せず、FP44の前週のSOLAS総合見直し中間WGにてさらに議論することとなっている。

 

(2)火災荷重

船舶居住区域の可燃物の規制について現II-2章では、34規則及び49規則に壁や天井面の内装表面材の容積規制(面積×厚さ)と発熱量規制(45MJ/m2以下)がある。但し、これらの規制には、家具、寝具類及び敷物類が含まれていない。船室内の可燃物の量は、壁や天井の表面材よりも家具や寝具類の方が多いため、現II-2章の可燃物の制限では不充分であるという主張が認められ、可燃物の総量規制(火災荷重の制限)を新II-2章に盛り込むこととなっている。

しかしながら、詳しい対象物件の選択や規制限度値についてCGでは合意に達しておらず、また、火災荷重の制限と容積制限及び発熱量制限との関係(すべて課すか、選択肢とするか)についても議論がまとまっていない。本件も中間WGにてさらに議論することとなっている。

 

(3)非常用呼吸具

非常時の緊急用の呼吸具(使用可能時間10分程度の空気源と呼吸用マスクあるいは透明袋)は、船舶の機関区域及び旅客船の居住区域に備え付けることが合意されているが、その備え付け量については合意されておらず、中間WGにてさらに議論することとなっている。なお、非常用呼吸具の技術基準は、MSC/Circ.849として回章されている。これは指針であるので、強制力のあるFSSコードには入るべきではない。

 

(4)機関区域の局所消火装置

旅客フェリー「エストニア」の海難に対応したMSCにおける議論の中で、機関区域の火災を初期に消火するために、火災危険性の高い場所に局所的に自動消火装置を設置するSOLAS改正案が提出された。この改正案は旅客フェリーの安全性向上のSOLAS条約改正には含まれなかったが、FPにて新II-2章に盛りこむ方向で検討されてきた。なお、機関室の局所消火装置の記述基準は、MSC/Circ.913として回章されている。

 

(5)機能要件と同等性評価

SOLASの火災安全の基本及び機能要件と、同等火災安全措置の評価方法の新規則(Part F Regulation 17)については、先に述べたとおりである。

 

(6)煙の制御

陸上の建築物では、火災の際に発生する煙を建築物の外へ排出する装置(自然換気力を利用した排煙口あるいは機械式排煙装置)は、ある種の建築物(公共性のあるもの)には設備が義務付けられている。しかしながら、現II-2章には船舶に対してそのような規定はないため、新II-2章に火災時の煙の制御について規定することとなっている。

日本造船研究協会では、過去にRR733において実大規模の船舶居住区模型による煙流動及び制御の実験を実施し、その成果をFPへ提出してきた。

FPでは、日本及びスウェーデンにおける研究を基に、煙の制御に関する規則案及び煙制御設備の技術基準案を作成した。FP44は、それらについて最終的に議論することとなっている。

 

 

 

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