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旗国の自己評価様式の使用方法については、途上国側が強い懸念を持ち、今後も議論が行われると予想されるが、我が国としては、基本的に旗国が条約履行の責任を果たすことが重要と考えており、自己評価様式を用いたFSIの活動を支持し、旗国責任が達成される有効な方策の検討に前向きに取り組む方針である。

 

(9)IMOが今後目指す方向

IMOは2000年代に取り組むべき課題として次の課題を上げており、11月の総会で採択された。

・人の強調

・確実な実施(STCW、ISM、global SAR plan、MARPOLの油受け入れ施設要件等)

・安全と環境保全(特に、客船とばら積み貨物船)

・Safety CultureとEnvironmental Conscienceの構築

・不必要な過剰規制を避けること

・IMOの技術協力の強化

 

3. 欧州の動向及びアジア・中南米対応

 

(1)欧州の動向対応

本年6月にアムステルダムに主要国の海事関係の閣僚クラスが集まり、「海運の質の向上」をテーマとするマリンフォーラム99が開催された。フォーラムでは各国とも安全・環境の重要性を指摘し、旗国の責任やサブスタンダード船の排除の必要性を強調する内容であったが、注目すべき点として、主に欧州の出席者が、産業界の自主規制に着目した発言をしていることが上げられる。また、「質の高い登録のネットワーク」の提唱など、新しい考え方が示されている。これらの動きの将来の見通しは現在のところ明らかではないが、フォーラムの後、6の作業部会(人的要因、コードオブコンダクト、点検・検査、情報の透明化、規則・基準のハーモナイゼーション、質の高い登録のネットワーク)が設けられコレスポンデンスグループ方式で意見交換を繰り返すこととなっており、今後、このような欧州を中心とする動向に注目していく必要があり、情報収集、分析をしつつ対応方策を検討することとしている。

 

(2)EUの動向対応

EUは、State Aid Guidelinesを97年7月に定めた。その目的は、EUの域内における職場の確保、海技の維持、安全の強化。

このガイドラインでは、Tonnage Taxの導入と船員所得税の減少等を勧告している。現在、EU加盟国の海運政策に対し、このガイドラインが強い影響を与えつつある。

また、EUは既に次の指令を定め、統合の効果を発揮しようとしている。なお、本年からはこれらに加え、トレモリノス漁船条約をEU域内で実施し、域内に入る外国漁船にまで適用することとしているため、スペイン政府等との協議を踏まえた対応を講じることとしている。

・Transfer of Ships

・Classification Societies

・Marine Equipment

・Minimum Training for Seafarers

・Port State Control

・Carriage of Dangerous Cargoes

・Passenger Vessels in Domestic Trades

 

 

 

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