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付録

 

1. 応急処置

オニヒトデにはたくさんの鋭い棘が生えています。棘は長いもので約5cm、非常に鋭利で、しかもとてももろく出来ているので、刺されると傷のなかで折れてしまい簡単に取れなくなることがあります。また、棘を覆う組織には毒があります。棘が刺さると大変痛み、二次感染がそれに続いたり腫れたりします。痛みは棘が刺さると即座に生じ、大変強烈で数時間持続します。ひどいケースでは刺されて1時間ほど後に嘔吐することもあります。数日間に亘り2−3時間ごとに痛むこともあります。過敏な人の場合はアレルギー反応を起こすこともあります。また、オニヒトデの棘に繰り返し刺されると、何ヶ月や何年の間が空いた場合でも、刺された時の反応がよりひどくなることもあります。

 

オニヒトデに刺されたときの応急処置は、Birkeland & Lucas(1990)などによると、

(1) 簡単に取れそうな棘は取り除きます。傷の中に埋もれている棘は治療を受けるまでそのままにしておきます。棘の先端はとても折れやすく傷の中では見つけ出すのも難しいので無理に引っ張り出そうとはしないでください。

(2) 傷を熱めの湯(約50°C)に浸します。

(3) 傷口をきれいにし、傷口にゆるく包帯を巻きます。

(4) 医師の治療を受けます。

 

2. オニヒトデについてもっとよく知るための参考書

残念なことにオニヒトデについて日本語で書かれた本は見当たりません。本川達雄「サンゴ礁の生物たち」中公新書1992などに、オニヒトデについての記述があります。

(1) Birkeland. C. and J. S. Lucas 1990, Acanthaster planci : major management problem of coral reefs, CRC Press, Boca Raton, USA.

(2) English, S., C. Wilkinson and V. Baker 1994, Survey manual for marine management resources, ASEAN-Australian Marine Science Project: Living Coastal Resources, Australian Institute of Marine Science, Townsville, Australia.

(3) Wilkinson, C. R. and Macintyre, I. G. Ed. 1992, The Acanthaster debate, Special Issue, Coral Reefs, vol. 11. No. 2.

 

オニヒトデに関する情報収集や駆除の体制がととのわない理由のひとつとして、誰でも読める日本語で書かれたテキストが存在しないことが挙げられるかもしれません。

 

 

 

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