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彼らがいたおかげで、いろんな知識を補ってもらった。疲れたとき、辛いときにも励ましてもらった。いろんな自分とは違った考え方を教えてもらった。柄にもないことをいうようだけど、心から感謝したいと思う。ありがとうございました。

実は火葬の前日。僕は、なかなか寝付けなかった。しばらく、実習を終えて医者の道を歩んでいく自分を感じていた。初めのうち、胸をよぎる重たい感情に気がつかなかった。それが恐怖と不安だと気づくのに時間がかかった。自分が人間が人の命に関わる仕事をするようになる。そう思ったとき恐れを感じていた。そのあと、なぜか涙が流れていた。でもそれは怖かったからでも、不安だったからでもなかった。

翌日、僕は感謝の念を込めてお骨を拾い、最後にYさんと自分に誓った。「僕は、医者になります」

 

医師になる為の自覚

高山和生

 

私が医者になろうとしたきっかけは父の死である。父が医者であったがために、自分の体を蝕んでいる病気の断定、今の病状、自分の死期はいつかなど、逐一知ることができた父。その想像もつかない恐怖に対し少しも恐れを見せず、その死に立ち向かっていった。私はそんな父の姿に感動しあこがれ、医師になろうと思い、さらにガンで逝った父の苦しみを見てホスピスの重要性に気付き、ホスピスを目指そうと思った。

 

 

 

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