でも始めは戸惑っていてばかりでしたが、実習が進むにつれて、また医学生が額に光る汗を拭きながら、何度も丁寧に説明をして下さる姿に接して、いろいろと勉強させていただくことが出来ました。そして、何よりも感じたのは、献体されたご本人が、私たちの目の前で静かに私たちの学ぶ姿を見ておられるのだということです。そして、その目の向こうにはその方が限りなく愛しておられたご遺族の方々が見ておられるような気がしました。私たちに出来ることは、しっかり目で見て、手で触れ出来る限りの事を学ぶことです。そして、早くご遺族が待っておられる懐かしい場所へと戻っていただきたいと思いました。自分にとって大切な人が亡くなるということは、それだけで計り知れない苦しみと悲しみを経験します。ご遺族の方々は、それに加えて一年間、耐えて待ち続けておられることを、実習前に教わりました。
私たちが将来に向けて知識を高め、技術を磨くその根底には、今回のように献体を決意して下さった方々と、ご遺族の方々のそれぞれの願いや思いがあるということを忘れてはいけないと肝に銘じました。そして、私が決意したこの看護の道を、これからまっすぐに進んでいくこと、それが今回の見学を終えた今の気持ちです。