御遺体の方もそれぞれ様々な人生を歩んでこられたと思います。「死を自覚して生を謳歌すべし」ではありませんが、自分がこの世界に対して一体何ができるか、どうせ死ぬのなら限られた人生をどう生きてやるか、強く生きたいという気持ちが今、ふつふつとわいてきてます。
慰霊祭には医学部代表として参加させていただきました。遺族代表の方が「奉公を終えて一刻も早く私の所へ戻ってくるのを待ってます。」と読まれた時、おもわず涙が出てきました。献体をなさるということは並々ならぬ決心が必要であったと思います。そのことを思いますと、私達は非常に恵まれた環境で勉強させていただいていると思います。
一番感動的だったのが、やはり子宮の解剖です。私も二十一年前に、母親の子宮に一つの生命として宿ったことを考えますと、自分を産んでくれたことに素直に感謝したくなりました。現代の世の中では、日本に限らず生と死があまりにも軽々しく扱われ過ぎてるように思います。解剖を経験することで少しは成長したかな、と思います。
近い将来医師となるわけですが、私達に今一番必要なのは、心の対話だと信じています。ともすれば明日を見失いがちですが、解剖での経験をもとに心のわかる人間になるよう努力していきます。ありがとうございました。