さて、実習を終えて、今の私の率直な感想は、「百聞は一見に如かず」です。どれだけ完壁に予習して実習に臨んでも、いざ実習が始まるとまるで役に立ちませんでした。理論と実践の間に大きな隔たりを感じました。
さらに、最初の頃は手際も悪く、思いきりもなく、慎重になりすぎてしまい、その日のノルマをこなすのに毎晩9時頃までかかってしまい、先生方にはたいへんな御迷惑をおかけしました。今、何より残念に思うのは、一二月に入り、実習も最終段階に突入したところで風邪をこじらせてしまい、三日も休んでしまったことです。体が思うように動かなかったのは正直言って私にはショッキングなことでしたし、体調管理の大切さを思い知らされました。
最後に、心に残ったことが一つあります。私事になりますが、この解剖実習期間に友人を一人亡くしました。脳腫瘍でした。彼は病床で私に、「お前なら人の痛みがわかる医者になれる。」と言ってくれました。この一言から、医者という職業、病気を治すということ、患者さんやその家族の方々と接するということ、非常に多くのことをあらためて考えなおすことができました。これからも、彼のくれた言葉を胸に、人の痛みがわかる医者になるために、必死で勉強していきたいと思います。