しかし、簡単には小さな宇宙は私たちに様々なことを教えてはくれません。傍らに数冊の本を置き、何人か集まって調べてみても分からないことがたくさんありました。必ずしも本に載っているような模式図どおりではないからです。最終的に先生方からのアドバイスを手がかりに小宇宙の不思議を探って行き、二、三時間かけてやっと一つのことを教わったこともありました。時には、単純作業が続き嫌気がさすこともありました。ノルマに気を取られ、全然進まない時など仲間に八つ当たりした時もありました。
実習が進むにつれ、人体について様々な事を勉強していきましたが、ここで私にとって最も頭の痛むことがありました。それは、各名称を覚えることです。いくら御遺体から様々な事を教わってもそれを覚えていないのでは話になりません。その為、私は仲間と共に、休日に実習室を開けてもらって時間の許す限り御遺体を前に名称を覚えました。この実習を通じ、私は仲間に随分と協力してもらいました。仲間に感謝し、同時に仲間の大切さを改めて感じました。
解剖実習の全行程が終了した後、学年も三年となり「臓器」や「病気」について徐々に教わり始めました。講義において先生の口から次々と専門用語が出てきます。そんな時、父や叔父の言葉を思い出しました。その言葉の大切さを実感しつつあります。