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もちろん、生前は私達と同じように人格をもっておられた訳で、私達に献体されたのだから有意義に解剖学実習に取り組まなければと決心したのも事実である。

御遺体には礼を以って接することは勿論だが、解剖させて戴いているという意識を常にもって、積極的に予習したいと考える。初日の皮切・皮剥では緊張していたせいもあってか、メスやピンセットの扱い方も基本通りできたと思う。明日以降もこの緊張感を持続させて御遺体から多くを学びたい。

今日一日終えて残り二十五回実習を行う訳だが、実習の目的を確認しておきたい。将来、医師を志す者として臨床的能力、協調性、観察、表現能力などを養うことが主眼であろう。しかし、最も根本的なこととして、慈恵医大の校訓である「病気を診ずして病人を診よ」の遵守が考えられる。実習の対象はあくまで「人」なのでるあることは忘れてはならない。

最後になったが、初日の前述のような決意を通してこそ、献体された方の気持ちに応えられると思う。今の決意を守り通し、人体の尊さや構造のすばらしさを学ばせて戴くことを誓うと共に、長年御協力下さっている白菊会の方々、先生方に感謝の意を申し上げたいと思う。

 

 

 

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