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これはすべてダイナミックな経済とテクノロジーの一部であり、その中では競争は激しいが、少なくとも、長期的に機能していくことを目指すならば、他の利害も十分に考慮する必要があります。

 

これはゲームのルールが、地方、地域、国家、あるいは国際的規模の公共部門によって決められるのではなく、相互に影響し合う戦略的プレーヤーと出資者自身から引き出されるという理論に関連します。これは通信、運輸(特に航空輸送と海上輸送)、エネルギー(電気・ガス)の分野で見られるものです。これらの部門はみな、激動する技術的ダイナミズムと経済の強力な競争性が特徴で、その両方が一つの国内で規制されるのではなく激動する国際市場の中に存在するという点です。このような状況下では、国家の全体的な役割や機能は重要ではあっても、国家が決定的な規制者として機能することがもはや不可能です。その代わりに、関連する部門の戦略的プレーヤーと出資者から直接生まれ、イニシアティブ、投資、主要プレーヤー(またはプレーヤーの連合)の行動と、安全性、環境品質、あるいは文化的・人間的価値といった他の利害の代表のための必要な枠組を提供する新しいレジーム(体制)とルールが現れます。この新しい国際的体制は国際貿易と国際関係の専門分野で研究・分析のテーマになっています。既にこれは、航空輸送・通信に加え海上輸送の分野で基礎的分析が行われています(Zacher、Suttonと共に、1996年)。

 

将来的に、インフラストラクチャー、海上および陸上の輸送、流通、物流という全体の中での港湾(欧州、アジア、北米を問わず)の進化には、この国際的海上輸送体制をよりよく知り、それを大陸、国家(しばしば貿易協定で結ばれている)さらには地域の地政学およびその他の政策との関連の中で考える必要があります。港湾は個々に、またハンブルク―ルアーブル圏のようにグループで、世界的・国家的・地域・地方規模の機会、脅威、課題、圧力のバランスを追求しながら、今後さらに進化していくでしょう。この意味で、港は今日の経済の中で「起業的」なものです。

 

 

 

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