ターミナルのリース契約は投資した資本に対して妥当な収益があるように収益期間の延長を行えるように変更する必要があるし、「地主港湾」と使用者の関係において、借受者と地主の両方が「勝ち組」となる状況を提供できるように、契約内容を変える必要がある。
リース期間が短いとオペレータは高めのリース料を払う圧力を感じるし、コンテナターミナルに投資して開発しようとするインセンティブも弱くなる。123) 米国ではターミナルの借受者は長期契約を望んでおり、30年以上はめずらしくない。もし収益期間が日本のコンテナターミナルにおいて30年などの長期であれば、年間のリース代はもっと安く、船社をより多く誘致できるであろう。
結果が収支ゼロとなるように、リース代が定率で設定されるのが日本では通常である。もし状況が悪い時は、船社は敗組で港湾局は勝組になる。もし港湾局と船社が「売上歩合制(shared revenue)」のリース契約で同意すれば、それでどちらも「勝ち組」になれる。状況が悪いときは船社も港湾局も苦しい思いをするが、しかし一方では、状況のよいときはどちらも勝者となる。日本は「地主型」港湾の手法を使い船社同盟と「売上歩合制」124) のリース契約を行う方向を検討すべきである。運輸省は法律を改正して収入歩合制と長期リースを認めるべきである。125)
4.3. 内陸側のアクセスと複合一貫輸送
外国船社と国内船社、ターミナルオペレータ、トラック運送業者、鉄道輸送業者はコンテナターミナルから日本の後背地へまたはその逆方向にコンテナを輸送する革新的な複合一貫輸送のネットワークについて議論をするべきである。これにはさまざまな海上輸送モードでコンテナの国内輸送を行う配慮をもっとすることも含まれる。鉄道輸送業者は港湾当局、荷主や海上輸送業者と共に日本において効率的な複合輸送体系を構築できるように協力すべきである。外国船社の日本支店は限定された陸上輸送免許を受けるべきであろう。トラック業界は通信手段を搭載することが推奨される。そうすることでコンテナターミナルのEDIシステムと直結され、トラック配送業務の効率化を行え、よりよい顧客サービスを提供できる。政府の法律制定部門は船荷証券(Bill of Lading)に関する法律が一般的な国際的慣行に合致するように見直しと改訂をすべきであり、そうすることで一つの船荷証券で外国の仕出し地から日本の後背地における仕向け地までを一貫して取り扱うことができる。
5. まとめ
まとめると、現在の港湾サービス提供の構造は自由競争を導入できるように変革すべきである。その際に公共の利益を念頭に置く必要がある。ターミナルの借受者に対してもっと柔軟性のあるしくみを導入すべきである。運営の透明性、平等性と迅速性を確保する検討が必要である。そしてもし日本が他のアジアの港湾と競争する気があるならば、政府当局、ターミナルオペレータ、労働者、そして船社が協力しあっての真剣な取り組みが必要であり、主要港湾における永久的で広汎な週7日の操業体制をとる必要がある。126) 主な改革の一つとして、統合された EDI システムのない非効率な運営システムを即座に改善することがあげられる。
もし上記の推奨事項が日本の関連省庁で採用され実施されれば、国の競争的地位の向上と港湾の競争力向上のためになるであろう。また、そうすればどれかのコンテナ港湾が地域のハブ港湾として成長できるであろうし、日本とその貿易相手国は、急速に拡張する世界経済によって生じる利益を享受することができる。