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以上のような認識の下に、民間事業者の自主性と創意工夫を尊重したPFI事業の促進を図ることは、喫緊の政策課題といえる。国及び地方公共団体においては、公共施設等の管理者等が特定事業の実施を円滑に進められるように、以下に示すところにより、所要の財政上及び金融上の支援、関連する既存法令との整合性の明確化、規制の緩和等の措置を講ずる必要がある。

 

本基本方針は、公共施設等の管理者等が、共通の方針に基づいてPFI事業を実施することを通じて、効率的かつ効果的な社会資本の整備が促進されることを期し、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律弟117号。以下「法」という。)第4条第1項の規定に基づき、特定事業の実施に関する基本的な方針として定めるものである。なお、本基本方針は、国等(法第2条第3項第1号及び第3号に掲げる者をいう。以下同じ。)が公共施設等の管理者等として行うPFI事業について主として定めるものであり、同時に、地方公共団体においても、法の趣旨にのっとり、本基本方針の定めるところを参考として、PFI事業の円滑な実施の促進に努めるものとする。

 

一 民間事業者の発案による特定事業の選定その他特定事業の選定に関する基本的な事項

 

1 特定事業に係る一般的事項

国等は、公共施設等の整備等に関する事業を行う場合、民間の持つ資金、経営能力及び技術的能力を活用することにより効率的かつ効果的に実施されることが可能な事業であって、民間事業者に行わせることが適切なものについては、できる限りその実施を民間事業者にゆだねるものとする。

 

2 実施方針の策定及び公表

(1)国等は、PFI事業の円滑な実施を促進していくためには、具体的な特定事業を早期に実現し、その実施過程の中で諸制度の整備、改善を図っていくことが必要であるとの観点に立ち、公共施設等の整備等に関する事業のうち、事業の分野、形態、規模等にかんがみ、PFI事業としての適合性が高く、かつ、国民のニーズに照らし、早期に着手すべきものと判断される事業から、法第5条に定める実施方針を策定する等の手続に着手することとする。また、民間事業者からの発案のあった事業については、下記4に従い、積極的にこれを取り上げて、必要な措置を講ずるものとする。

(2)国等は、実施方針の策定及び公表を、公平性及び透明性の確保の観点から、当該事業に関する情報が早くかつ広く周知されるよう、なるべく早い段階で行うこととする。

(3)国等は、実施方針において、法第5条第2項各号に掲げる事項を定めるものとする。実施方針の策定に当たっては、民間事業者にとって特定事業への参入のための検討が容易になるよう、当該特定事業の事業内容・民間事業者の選定方法等についてなるべく具体的に記載するものとする。この際、実施方針は、公表当初において相当程度の具体的内容を備えた上で、当該特定事業の事業内容の検討の進行に従い、順次詳細化して補完することとしても差し支えない。

 

3 特定事業の選定及び公表

国等は、実施方針の策定後、当該事業の実施可能性等を勘案した上で、これを特定事業として実施することが適切であると判断したときは、法第6条に基づく特定事業として選定することとする。法第6条に基づく特定事業の選定及び法第8条に基づく客観的な評価の結果の公表については、次の点に留意して行ものとする。なお、下記(2)及び(3)の算定及び評価については、漸次その客観性及び透明性の向上を図るよう努めていく必要がある。

(1)特定事業の選定に当たっては、PFI事業として実施することにより、公共施設等の建設、維持管理及び運営が効率的かつ効果的に実施できることを基準とすること。これを具体的に評価するに当たっては、民間事業者にゆだねることにより、公共サービスが同一の水準にある場合において事業期問全体を逓じた公的財政負担の縮減を期待することができること又は公的財政負担が同一の水準にある場合においても公共サービスの水準の向上を期待することができること等を選定の基準とすること。

(2)公的財政負担の見込額の算定に当たっては、財政上の支援に係る支出、民間事業者からの税収その他の収入等が現実に見込まれる場合においてこれらを調整する等適切な調整を行って、将来の費用(費用の変動に係るリスクをできる限り合理的な方法で勘案したものとする。)と見込まれる公的財政負担の総額を算出の上、これを現在価値に換算することにより評価すること。

(3)公共サービスの水準の評価は、できる限り定量的に行うことが望ましいが、公共サービスの水準のうち定量化が困難なものを評価する場合においては、客観性を確保した上で定性的な評価を行うこと。

(4)特定事業の選定を行ったときは、その判断の結果を、評価の内容(公共サービスの水準について定性的な評価を行った場合は、その評価の方法と結果を含む。以下同じ。)と併せ、民間事業者の選定その他公共施設等の整備等への影響に配慮しつつ、速やかに公表すること。なお、実施方針の策定及び公表後に、事業の実施可能性等についての客観的な評価の結果等に基づき特定事業の選定を行わないこととしたときも同様とすること。

(5)上記(4)の公表のほか、選定又は不選定に係る評価の結果に関する詳細な資料については、民間事業者の選定その他公共施設等の整備等の実施への影響に配慮しつつ、適切な時期に適宜公表すること。

 

 

 

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