3. 内航船の実態調査
3.1 調査目的
現在運航されている内航船について乾舷及び乾舷決定に影響を及ぼす船体形状等を調査した。これにより、内航船の平均的な船型を把握し、基準案検討に用いる対象船の選定及び計算条件の設定等に利用した。
3.2 調査方法
日本海運集会所発行の内航船船舶明細書(1996年版)を調査し、1995年6月30日に現存した内航船が計5,038隻について、長さ、総トン数ごとの隻数分布を船種及び航行区域別に整理し、本部会での検討対象を明確にした。
3.3 内航船舶明細書の調査結果
3.3.1内航船の構成
内航船の船種及び航行区域ごとの隻数を表3.1に示す。現在、満載喫水線規則が適用されている内航船は、航行区域が遠洋区域または近海区域の船舶及び沿海区域を航行区域とする長さ24m以上の船舶である。表3.1から規則の対象船は約4,500隻で、そのうち貨物船が約43%、タンカーが約18%を占め、ケミカルタンカー(約13%)を含めると、規則対象の内航船の約73%がこの3船種となることが分かった。
3.3.2 内航船の船型
内航船の船型を各船種ごとにまとめると図3.1のようになる。貨物船は主に二層甲板の遮楼甲板型等であり、タンカー及びケミカルタンカーは主に一層甲板の凹甲板型である。
3.3.3 内航船の長さ及び総トン数ごとの隻数分布
内航船全体の長さ及び総トン数ごとの隻数分布を図3.2及び図3.3に示す。長さベースで70m未満の船、総トン数ベースでは1,000GT未満の船が全体の約9割を占めている。総トン数ベースでは199GT型、499GT型、699GT型、999GT型の船が多数あることが分かる。沿海船の船長は一番長いものでも垂線間長Lpp=130m以下であった。
(文責:船舶技術研究所 小川剛孝)