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(4)SOLAS新II−2章案における規則の検討とFSAの利用可能性

SOLAS条約では従来、事故原因の究明により危険を特定し、それに対する危険回避措置を考案し、それを条約改正に盛り込むかは各国の専門家の判断を通してIMOの会議で決定してきた。SOLAS新II−2章案構築においても、火災リスクに関する統計データが揃わない場合には、FSAを実施しても、抽出した火災危険回避措置を新II−2章案に盛り込むかは専門家判断によることとなる。

ここで抽出した火災危険回避措置は最大限の措置である。FSAのSOLAS新II−2章案構築への利用可能性としては、火災危険対処措置をシステマチックに抽出することで、防火要件の漏れを避けることができる点にある。

 

2.4.3 船舶居住区域へのFSAの試適用(平成11年度調査研究)

平成11年度には、貨物船(17万トンBulk Carrier)及び内航旅客フェリー(約1万トンと1.5万トンの2隻)の居住区域を実船調査し、居住区域内の燃焼物(可燃物)及び燃焼開始のためのエネルギー源(高温可能物)を特定した。また、火災安全に関する国際規格・海外規格を調査した。さらに、海難審判判決録により、過去の船舶火災事例を調査した。これらを基にして、一般の船舶の火災発生ハザードとその対処方法を検討した。検討に際しては、その火災ハザードの起こり易さ(頻度指数:FI)及び結果の重大性指数(SI)を考慮してハザードの重大性レベルを同定し、SOLAS/新II−2章の対応を考察した。

 

表2.4.3.1 火災ハザードの頻度と結果の重大性

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(1)頻度指数、結果の重大性指数及び総合ハザードレベル

火災ハザードの頻度と結果の重大性(表2.4.3.1)は、一般に取られている方法と同様に、以下のような分類で検討した。

 

(2)火災ハザードと防火対策の同定

実船調査及び船舶運航者への聞取り調査をもとに、船舶居住区画における火災発生危険性を特定し、その結果の重大性の指数(SI)(表2.4.3.2)及び頻度指数(FI)(表2.4.3.3)を検討した。さらに、これらのハザードに対する措置がSOLAS/II−2章で取られているかを調査検討した。その結果を表2.4.3.4に示す。

 

 

 

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