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(2)火災ハザードの特定

燃焼は物質の酸化反応である。燃焼状況を起こすための3要素は、「燃料」、「酸素」及び「エネルギー(高温源)」である。従って、火災ハザードとはこれらの3要素の存在である。通常の空気があれば酸素は存在するから、酸素は通常存在するものとする。従って、火災ハザードの抽出とは、「燃料」及び「エネルギー(高温源)」を抽出することである。

タイプシップのそれぞれの区画に存在する「燃料(燃焼物)」及び「エネルギー(高温源)」を抽出した。これを表2.4.2.1に示す。これらの燃焼物と高温源が遭うと燃焼すなわち火災が始まる。

実際の船内諸設備によって、火災危険性はさらに詳細に検討することができる。例えば、電気設備毎に、その短絡危険性が存在する場所や過熱する危険性がある場所を特定できよう。あるいは、実際の機関の燃料供給管や装置について、燃料漏れが想定できる部分を特定できよう。一方、火の点いたたばこが不用意に置かれる場所や、放火される場所は、大まかには考えられるが、特定することはできない。タイプシップでは、船内の設備について詳細には規定していない。そこで、火災ハザードを広く把握することとし、表2.4.2.1に示した火災ハザードをさらに詳細には詰めず、これらの一般的なハザードについてのその回避措置を検討することとした。

 

表2.4.2.1 火災ハザードの特定

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(3)火災ハザード回避措置

(2)にて抽出した火災ハザード3要素が揃うと火災が発生することとなる。そのうち、「酸素」は通常存在するものとし、残りの「燃料」及び「高温源」が揃わないような措置を検討した。

2.4.1項に述べたように、SOLAS新II−2章案では多重防護の思想により、防火措置を、出火の防止、火災の早期発見、火災の拡大防止、煙発生の制限、火災・煙の区画を超えた伝播の防止、火災の抑制・消火、避難の確保に分けて考え、船舶にそのための措置を要求している。ここでは、タイプシップの高速旅客フェリーの各区画について、表2.4.2.1に抽出された燃料及びエネルギー(高温源)に対する措置を、多重防護の各防護要素の面から考えた。これを表2.4.2.2に示す。

 

 

 

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