4.5 可燃材料・消火設備及び防火仕切りの関連に関する検討(平成7〜11年度)並びに可燃仕切り及び家具の火災安全に関する試験(平成7〜8年度)
通常のB級防火隔壁あるいはアルミ合金製の隔壁からなる実大船室に内装材及び家具・寝具類を施工し、各種のスプリンクラ(通常型、速動型、ウォータミスト型等)を設置して、実大火災消火試験を実施した(図4.8、図4.9)。その結果から、スプリンクラ等の消火装置の効果、防火隔壁の性状、火災室内の温度及び火災による燃焼発熱量の資料を得た(図4.10)。その成果から、スプリンクラ装置が作動すれば、アルミニウム製隔壁及び室内の防護が的確に得られることを把握した。これらの知見を基に、新II-2章のPart B、C、D及びFの関連を検討した。
4.6 防煙仕切りの性能基準に関する検討(平成9〜11年度)
SOLAS新II-2章案では、火災時の煙を制御するために居住区の主垂直区画内を防煙仕切りによって防煙区画に分割する案が検討された。また高速船コードには、Bクラス高速旅客船の居住区域を防煙仕切りによって分割する要件がある。このような防煙仕切り(防煙隔壁及び防煙ドア)は、火災初期の温度において煙を通さないことが要求される。そこで、国内の建築物の防煙ドアの基準等を参考として、防煙仕切りに関する煙通過試験を実施し、船舶用防煙仕切りの性能基準案及び試験基準案を検討した。すなわち、B級仕切り、B級防火戸及びB級には達しないが、遮煙効果があると考えられる仕切り及び戸について、実大の居住区モデルによる遮煙性能試験を実施した(図4.11)。また、それらの戸及び隔壁について、ISO等の防煙戸の性能試験に準じた防煙性能試験を実施した(図4.12)。それらの結果に基づいて、煙の制御に使用する防煙仕切り及び防煙戸の性能(煙温度、漏れ流量及び保持内圧の関係)を把握した(図4.13)。その成果をFP・II-2/CGに提出し、煙制御及び防煙仕切りの性能の検討に資した。
4.7 防火構造及び材料の火災安全評価方法に関する検討(平成10から11年度)
防火構造の安全評価方法は、国際的にISO及び欧米の規格制定機構で開発が進められてきている。また、我が国を含め、各国の建築防火の分野で研究が進められ、実用化が計られている。これらの防火構造及び材料の火災安全評価方法に関する研究成果を調査した。その成果は、新II-2章のPart Fの火災安全同等性評価方法の規則及び関連する火災安全評価方法指針案作成に利用されてきた(3項参照)。