0326再度汽笛による停船信号「K」が発せられた。
0323より前には、無線、汽笛、空砲、その他の手段による信号は一切行われていなかったことが確認されており、さらに0340に行われた2回の機銃射撃と同様、これら2回の砲撃は停船の警告を目的としたものであり、レ号に命中させる目的で行われたものでないことは明確である。二船間の距離は0330には0.9マイル、0338には0.45マイルとなり、この時ニールスエベセン艦長はレ号に対する発砲を命じている。
0340停船命令に加え、警告が携帯拡声器で発せられた。
これは録音テープに詳細に記録されており、その中程には2回の銃撃(前述した機関銃によるもの)も示されている。以下に示す状況において、銃砲弾がレ号を直撃したのは正にこの時刻以後のことである。
0340単射による機関銃弾8発がレ号のレーダースキャナーに向け発射された。後日2弾が命中していたことを確認。
0341改めてレ号に対し拡声器による停船命令。
0342単射による機関銃弾21発がレ号マストに対して発射された。命中弾なし。
0344、40ミリのマスト灯に対する一連射、命中せず。
0347、40ミリのマスト灯に対する一連射、命中せず。新たに拡声器による警告、「停船せよ、さもなくば船体を射撃する」。
0351船首に対し40ミリ二連射、船名板の少し後方に1発命中。
0352船首に対し40ミリ二連射、命中なし。
射撃はデンマーク領海内で行われており、艦長の命令で終了した。銃砲撃に使用した弾丸は実弾であったが炸裂弾ではなかった。レ号が全く速力をおとさなかったことは証拠により示されており、英国軍艦に遭遇するまで停船しなかった。
この事件の解決は国際審査委員会に付託されたが、その結果、問題の銃砲撃については、次のように評価された。「ニールスエベセンの指揮官は、二つの理由で正当な実力行使を超えていた。すなわち、(a)警告なしで、実弾射撃を行ったこと、(b)レ号に向け実弾射撃を行い、明確な必要性なしにレ号内の人命に危険を生ぜしめたこと。