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実際上は、戦時における臨検の手続きに関する慣行が、そのまま準用されてきたようである。林久茂教授は、Oppenheim's International Law の所説として、次のように説明している。国旗の検認の方法について、国旗を掲揚しない、疑わしい商船に遭遇して、それを検認しようとする軍艦は自らの国旗を掲げて、空砲を一発放つ。これは商船がこれに答えて国旗を掲げるという信号である。もしこの信号が無視されるならば、軍艦は船首を越える実弾砲撃一発を行う。もし被疑船がこの警告にもかかわらず、なお国旗を掲揚しようとしないときは、嫌疑が重くなり、したがって軍艦は臨検および国籍の検認のために強制的に停船させることができる。次に臨検の方法について、臨検の意思が、呼びかけか、または通告砲撃=空砲一発または二発連発によって通告される。もし船舶がこの通告を無視するときは、停船信号として船首を越える実弾一発を発する。船舶が停船した後、臨検士官一名が船舶書類の検査のため短艇で派遣される。そして、戦時においては、あくまで停船信号に応じない場合は船体に対して実弾砲撃を加え、船舶を撃沈すること等は、戦争の必要性からして、通常とられる手段である。しかし平時においては、それぞれの警察目的に応じての臨検の手段がとられるべきことは当然であって、比例原則(proportionality)の原則は厳格に守らなければならない。沿岸国は、追跡権の行使により被追跡船舶に対し乗船・臨検・拿捕または港への引致の強制措置を行い、またその実施のために必要かつ合理的な実力を行使することができるものとする(8)。しかし、停船命令に従わない密輸容疑船に対する銃撃・撃沈は、過剰であり違法である(9)

同様に、コロンボスは、公海上における外国船に対する一切の干渉行為は、条約による場合を除いて、国家が責任を問われるべき行為である。船舶の性格に偽りがあるという嫌疑のための相当な根拠がある場合にのみ許される。接近されようとした船舶が頑固であるとみられ、また、国旗を掲揚することを拒否したとする。この船舶は、直ちに嫌疑があるものとなる。この後で通常みられる手続きは、軍艦が空砲をうつこと、もしこの空砲による警告が無視されるときは、続けて船首を横切る砲撃を1回行うことである。これらの警告にもかかわらず、同船がなお国旗を掲げないときは、軍艦は実力に訴えて停船させてもよい。しかし平時における武器の使用は濫用されてはならず、しかもその最後の手段としてのみゆるされるものであるとする(10)

 

 

 

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