*23 Nordquist, op cit., pp. 166-167; Gidel, op cit., p. 201 et seq.1930年のハーグ会議における条約案は、「通航は、……船舶が沿岸国の安全.……を害するいかなる行為を行う目的で(for the purpose of)領海を使用する(make use of)ときにも、無害ではない」と規定している。「目的で」という点を強調すれば、船舶の通航の目的という要因により(つまり、現実の有害活動の着手がなくても)有害性を認定できると解される。ただし、文理的にみれば、領海を「使用する」ということの意義如何によっては、目的という要因だけで有害性の認定を認めていると解せるかについて疑問がないわけではない。
*24 領海条約の起草過程のいて、国連国際法委員会提案では、「……の活動を行うために領海を使用(use)しない限り」と規定されており、行為態様が有害性の判断規準・要因であると解することができる。しかし、領海条約14条4項は、「領海の使用」とか「活動を行う」などの表現を削除した。
*25 Nordquist, op cit., p. 167.
*26 この過程では、国連海洋法条約18条2項にかかわる争点や、無害性と国内法との適合性との関係など重要な点を含むが、ここでは立ち入らない。
*27 1989年9月23日採択。International Legal Materials, Vol. 28, p. 1444, 1989.
*28 この2ヶ国以外の国々からは、軍艦の通航は「事前通報も沿岸国による事前許可も要求されない」という解釈に対して反対が示されたことや出典について、Nordquist, op cit., p. 178, note 12.
*29 Nordquist, op cit., pp. 168-169.
*30 田中利幸「外国船舶による領海での条約違反と国内法」海上保安協会、国連海洋法条約に関する国内体制の調査研究事業、事業報告書『新海洋秩序と海上保安法制』1993年、78頁。
*32 安富潔「無害通航権と実力の行使」海上保安協会、「国連海洋法条約に関する国内体制の調査研究事業」事業報告書、『新海洋秩序と海上保安法制』第3号、1993年、95-96頁。
*33 1996年の概要および分析については、Fillon, op cit., pp. 83-84, 88-92.