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(イ) 1995年デクレの5条によると、このデクレに規定することは、正当防衛あるいは特別の規定により官権に認められている実力の使用を妨げない、としている。いいかえれば、「正当防衛」にあたらないような状況でも、このデクレは実力の使用を認めているともいえる。日本の警職法7条などと比較すると、実力の使用の範囲が広いと解することができよう。*32

 

5. 1988年麻薬取締条約17条の国内実施のための1996年4月29日法

 

(1) 1994年法との統合

1996年法は、公海上の外国船舶及びフランス船舶上の麻薬取引の抑止を目的としている。1996年法は、1994年法を「一般規定」と定義して、これを第一章におき、1996年法を第二章とすることによって、両法を統合した。1985年無害通航に関するデクレ、1994年法とこれに付随する1995年デクレ、1997年の下記の司法警察の権限を行使できる者を特定するデクレにより、海上における執行管轄権の行使に関するフランス法体制が、ほぼ集大成をみることになる。

 

(2) 1996年法の概要と意義

(ア) 「行政警察 la plolice administrative」に関しては、1996年法は1994年法を補完するものである。1988年麻薬取引条約17条の予定する措置との関係で、1996年法は、物品及び書類の押収、公海や外国の港に向けての航路変更(旗国の要請に合わせて)などを規定した(第一章、14条)。

 

(イ) 1994年法は、「行政警察」についての規定にとどまったので、犯罪捜査や追跡が規定されていなかった。そこで、1996年法は、「司法警察la police judiciaire」に関する規定を拡充した。具体的には、1]刑法の適用領域を越えて、外国人に対して管轄権を行使する根拠の整備2]保全措置としてだけではなく、刑事手続きの一環としての押収や捜索を規定3]指揮官(関税吏やデクレに特定された海軍士官)に、司法警察の権限の授与、などの内容である(第二章、15及び16条)。*33

 

 

 

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