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なお、海上交通警察について、関係する複数の行政機関の権限の混乱を防ぐために、行政機関同志の協力の仕組みがあり、この場合には海軍軍管区司令官にコーディネータとしての役割が与えられている。

右の第3に掲げた商業的海上交通に関する特別警察とは、具体的には、違法な通商(奴隷貿易・密貿易・麻薬取引等)に対処するための警察作用を指している。密貿易・麻薬取引に関する海上警察権は、税関によって執行されるが、国際協力等も行われている。なお、税関官吏は、接続水域内において査察権限を持つこととされる。海上における暴力行為や平穏を妨げる行為への対処としては、公海上において外国船舶によって行われるテロリストの活動について、海賊行為の類推を拡大した法制度を構築すべきことが議論されている。

 

(4) 海洋漁業警察

フランスの漁業に関しては、古く1852年1月19日政令によって基本的な法的規制が定められているほか、1991年7月3日法等によって規律されている。また、現在では、漁業に関して、ヨーロッパ連合による規律が重要な位置を占めている。いずれにしても、海洋漁業警察については、フランス領海への外国船舶の入域を禁止してきた伝統的な原則から、フランス領海へのヨーロッパ船舶の平等なアクセスを認めるという現代的な原則へとの移行が図られ、さらに、ヨーロッパ連合の法政策の中で、水産資源の保存と管理のための法制度が整備されている。

漁業活動の規制・取り締まりについては、これを海上において実施することに特別の困難があり、特別な仕組みが必要となる。漁業活動の規制・取り締まり権限は、ヨーロッパ共同体法上、領海及び主権又は管轄権の及ぶ海域について沿岸国に帰属するものとされており、共同体の監察官には直接の介入権限はない。フランスでは、海洋資源の保存と管理に関する共同体の措置の尊重についてのコントロール権限は、漁業担当大臣の所掌事務であり、海事局によって執行される。

 

 

 

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