(4) 装備と勢力
航空機は有していない模様であるが、巡視船、航路標識船、測量船等の装備や勢力についても、詳細なデータは公表されていない。
(5) 各業務概要
イ 海難救助業務
海難救助は海上交通安全法において港務監督機構が行うと規定されている。
オペレーション業務を行う「中国海上捜救中心弁公室」が港務監督局に設置されており、また大連、天津、上海など沿海部の海上安全監督局(前述のとおり、交通部直属)や一部の省政府内に「海上捜救中心」を設置して、海難に対処している。
しかし、大規模な海難や遠距離の海難に対処する勢力は有していない模様で、交通部のなかにサルベージ公司(注:「公司」は会社と訳しますが、会社と言っても交通部に属した公的機関と思われます)があり、サルベージやその他の機関(海・空軍や国家海洋局など)の協力を得て、大規模又は遠距離海難の救助体制を作るようである。
ロ 環境保護業務
海洋環境保護法では、港務監督局は港区水域での海洋環境の調査監視を担当すること、と規定されている。港区以外の場所では、例えば、
・国家海洋局は、港区外の海洋での石油探査及び海洋環境の調査監視を担当。
・農業部漁政漁港監督管理局は、漁港及び漁業水域での海洋汚染の監視を担当。
・海軍は、軍艦からの汚染物排出の監督及び軍港の監視を担当。
というように、決められた水域を各々の担当機関が調査監視している。
ハ 航路標識業務
海上交通安全法などでは、港務監督局は、海軍及び漁政漁港監督管理局にかかる航路標識以外の航路標識を所管している。
中国の海域を北緯23度30分と北緯35度で区切り、北海、東海、南海の3つに分け、それぞれ天津、上海、広州の各海上安全監督局が統括して、航路標識を維持管理している。
各海上安全監督局の下部機関には、「航路標識区」及び「航路標識署」があり、各々の担当水域内での航路標識を維持管理している。