近隣諸国情勢
海上保安庁とロシア国境警備庁の関係について
総務部国際課国際係
内海雅雄
はじめに
ここ数年、日露の関係は川奈及びクラスノヤルスクにおける非公式首脳会談、さらに平成10年11月の小渕総理大臣の公式訪露の際の「モスクワ宣言」に基づき友好的関係の構築が図られてきたところであるが、こうした中で、当庁においてもロシアにおいて当庁のカウンターパートとなり得る諸機関との関係が協力的なものとなってきたと考えている。
ロシアにおいて、日本でいうところの海上保安業務を担当する諸機関についての情報については、すでに在外勤務や在外研修のレポート等をはじめ、さまざまな形で作成されており、日頃から大いに業務の参考となっているところであるが、本職もこの1年間、対露案件を担当するにあたって、最近のロシア連邦国境警備庁の組織などについての情報を得る機会を得たので、整理してみた。
1 沿革
1571年 ロシア帝国の対ダッタン人偵察・警備隊として発足
1893年 別個の軍組織「国境警備隊」として独立
1923年 海上部隊を創設
1991年 国家保安委員会(KGB)から国境警備委員会へ移管
1994年 大統領直属機関となる
※現在、ロシアの国家機構改革の流れの中で、国境警備庁についても他機関との合併などの動きも出ており、今後の動きには注意を要する。
2 任務
・人、物品、貨物、動物及び輸送機器の国境通過の管理(簡単に言えば出入国管理)並びに国境、領海、沿岸及び排他的経済水域における警備活動・法令取締り等を任務とする。