船舶は、ドイツ海難救助協会の救助艇と船体は同型であるが、当方は何時間も航海するので船内に事務所があるけれども、同協会は緊急時出動すればよいためそれがない、とのことである。
(ホ) 職員の教育訓練について
・警察学校採用者数は、向う3年間での退職予定者を見て、年2回採用する。
・「警察学校」2年半。一般的な警察の教育を行う。
50%……一般的な行政法、刑法等
50%……交通法規、海上法規等
受験資格は17〜25才。ただし、海技免状保有者は35才まで。
卒業後は、まずはパトカー、水上警察艇に乗船勤務する。
・試験に合格すれば「専門学校」に入学でき、3年間、主として行政に関する勉強をする。
修了時、試験があり、合格すれば1階級昇格する。
・更に、その中から評価の優秀な1人が推薦で「警察管理者専門学校」に入学し、2年間研修を受け、将来の幹部となる。
この専門学校の合計5年間の教育は、検事、弁護士の資格と同じくらいの教育を受けたと評価されている由である。
(3) 海上における銃器、薬物事犯等の取締り状況について質問したところ、次のとおり回答あり。
容疑船舶は、ドイツ秘密警察(DAR)や協力国から情報が入った時点でリストアップされ、連邦刑事局が世界と連絡をとっている。
容疑船舶が入港した時は、厳しいコントロールを行う。
a 統器
・ドイツへの密輸入は、多くない。
・4〜5年前までは、ベルギーで銃器を簡単に買えたので、船舶により密輸する必要がなかった。
・「パラシェフ」……仲間割れで、ロシアからポーランドを通って入ってくる可能性があるが、国境の問題であり、海の問題ではない。
b 薬物
・水上警察、税関が担当している。
・年間 平均3〜4トン、最大約20トンを発見している。
・ハンブルグ港は、コンテナの扱いが年間250万個であり、全てをチェックする訳にはいかない。密輸はかなりあると思われる。
トランジットが多く、他国へ行くことも多い。外国との協力が必要である。
c 密航
・コンテナ内に隠れての密航が時々あるが、寒さのため危険であることがわかっており、心配ない。
d 亡命
・海上からよりも国境の森等を通る陸上の方が簡単。
・亡命を助ける組織も、港は取締りが厳しいことを良く知っており、船舶のケースは少ない。