【浜辺の探検隊】―沖縄地区・高橋進統括推進員―
7月17日〜8月28日までの43日間、読谷村の沖縄残波岬ロイヤルホテルにて、本土から訪れる宿泊客に沖縄の自然や文化を体験していただく体験教室「ガジュマル木陰の学校」を開校いたしました。(中略)
この体験教室は文字どおりガジュマルの木陰を利用した学校で、浜辺の体験隊、島遊び体験隊、星空観測体験隊等があり、沖縄を丸ごと体験していただける様々なプログラムを用意いたしました。
この体験プログラムの一つ「浜辺の体験隊」を紹介したいと思います。まず、屋内にある教室で、約30分のレクチャーを行います。このレクチャーは、沖縄の環境特性の紹介から始まり、サンゴ海岸線の特徴、タイトプールの観察、そして海岸線に放置されたビニールごみやプラスチックごみによってイルカ、鯨などの沖縄の海洋哺乳類の生存が脅かされていることを沖縄タイムスの新聞記事等によって紹介し、このプログラムに参加する人々に海岸でのゴミ拾いをお願いいたしました。そして、レクチャーが終わり、フィールドとなります。ビーチから残波岬の方向へ、海岸線を歩きながら、海岸の植物の観察、サンゴ海岸線の特徴等を説明しながら約1時間ほど残波岬付近のイノーの観察をいたします。
観察の帰りに海岸のゴミ拾いをしてもらいます。この目的は、先ほど説明したことに加えて、漂着した様々な漂着物を使い、工作をしてもらうための材料探しを兼ねています。毎日このプログラムで海岸のゴミ拾いをするのですが、いっこうに海岸の漂着ゴミが減りません。特に金曜日や土曜日になるとビーチパーティー等で散乱したゴミが海岸線に放置されるといったケースが目立ちます。ゴミ拾いは、主にビニール製のものやプラスチック類そして缶等のゴミを中心に拾ってもらっています。2歳の子供からおばあちゃんまで、およそゴミ袋いっぱいの漂着ゴミを毎日拾っています。
残波はご承知のとおり、リゾートホテルが管理しているビーチですが、県内ではまれな無料ビーチとして、読谷村を始め、中南部の多くの県民が利用しています。そして、ビーチから岬にかけて、バーベキューが楽しめる村管理の施設があります。
県民が捨てたゴミを観光にきていただいたお客様に拾っていただくというのは、県民として恥ずかしいことでは思うのですが、日本各地から沖縄にきて、初めて海岸のゴミ拾いに参加をして、「こんなに、漂着ゴミがあるのか」と皆さん驚きます。沖縄から帰った後に少しでも海への関心を持ってもらい、ささやかな努力が海洋生物を救うということを理解していただければと毎日ゴミ拾いをしているわけです。沖縄から全国へ、ビーチクリーンの活動が広がればと思います。
(沖縄地区会誌「浜下りだより 第11号」より抜粋)