一方で、大都市圏港湾地区の土地価格の高さは、リサイクル拠点運営の経済性に大きく影を落とすもので、その解決の方法は、今後大きな議論のポイントになろう。ここで重要なのは、「行政は何をしてくれるのか」という「待ち」の姿勢ではなく、後背地産業や市民が、「持続的な都市の発展のためには、このような循環型都市インフラを整備したい。そのために行政にしてほしいことは何々である。」という要求を突きつける姿勢を持つことである。その中で、土地代の問題、優遇制度の問題、規制緩和の問題、ファイナンスの問題等が話し合われ、建設的な解決策を見出して行くことが肝要である。
【既存廃棄物処理事業者との調整に関して】
神戸港湾地域に先進的で大規模なリサイクル拠点を形成するということは、既存の廃棄物処理事業者に何らかの影響を及ぼすことは避けられない。しかし、リサイクルがより高度に、より効率的に、より確実に実施されることが要求されている今日、既存事業者にもその要請に応える努力が求められることは確実で、こうした新しい構想の検討に積極的に参加し、体質改善の機会と捉えることが重要である。その意味では、検討の場が一部の大手事業候補者にのみ限定されることなく、広く情報公開し、議論参加、事業参加への公平な道を確保することが必要である。
【検討、計画策定の推進母体について】
次に、こうしたリサイクル拠点整備の検討を先導して行く推進母体の存在の重要性が12]13]14]に指摘されている。北九州市やその他のエコタウン事業認定地域では、リサイクル拠点整備の検討に産官学からなる検討チームをつくり、さらに、各事業ごとの研究会を事前にスタートさせて、多くの時間を費やして具体策を策定している様子が伺われる。その中では、行政は拠点づくりの場所の提案や共通インフラ整備、規制緩和や優遇策、住民との議論の場の設定、先行進出企業との調整などで重要な役割を担うことは確かであるが、全体構想づくりを主体的にリードしていく立場でないことは明白である。全体構想づくりは、リサイクル拠点整備が、産業活動の一部であるとの認識にたった産業界がリードしてゆくのが筋であり、行政はその要請を受けて種々の対応策を検討する立場であろう。しかし、個別の産業界は複合的な総合リサイクル拠点整備全般の計画づくりに対しては興味を示さない可能性もあり、またその任でもない。したがって、産業界から代表を送りこんでいる連合体である財界活動機関が、この全体構想をリードする必要があり、個別の事業計画に落とし込んだところで、個別の業界に具体化検討をバトンタッチする形態が必要である。