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(2) 課題への対応の方向性

 

【全体ビジョンに関して】

1]2]3]は、今回の検討の前提となる循環型経済システムの全体ビジョンやリサイクル社会形成の全体コンセプトについての指摘事項である。

1]の循環型経済システム全体のビジョンづくりに関しては、厚生省や通産省、産業構造審議会の議論の中で多くの検討がなされており、その方針を受けて今回の検討を行っている。その骨子は第3章の国や自治体での取組みに関する項で述べてきたが、これまでの大量生産、多量消費、大量廃棄の経済システムの反省の上に立って、環境汚染や最終処分場の立地難などの環境容量の限界、資源有限性などに鑑み、経済システム全体を循環型にして、廃棄物量の低減(Reduce)、製品や部品の再利用(Reuse)、廃棄物から有価物の回収・再資源化(Recycle)を推進して行こうとするものである。これらの議論は、多くの刊行物によって記述されているので、本報では、その詳細説明を他報にゆずり、そのコンセプトを受けて検討をおこなっている。

 

また、「なぜリサイクル拠点整備の候補地が神戸港なのかを明確にすべき」という指摘は多くの委員からなされたが、「なぜ神戸港なのか」の検討から入るのではなく、人口の密集した都市圏である関西地域には、総合的リサイクル拠点整備が必須であるとの認識から、その一候補として、神戸港湾地域をモデルにしてリサイクル拠点整備の可能性を検討したもので、この検討を発端として、後背地の産業界や市民の中に、リサイクル拠点整備必要性の議論を巻き起こしていくのがねらいである。すでに、本論のなかでも述べてきたように、都市の持続的発展、後背地産業の活性化にとって、総合的なリサイクル拠点は都市機能の中の重要なインフラとして位置付け、産業界、学識経験者、行政、市民を巻き込んだ研究会を多くの地域が行っており、総合リサイクル拠点整備が各地で具体的に動き出している。こうしたインフラを地域内にもつことが、今後の都市圏の産業や市民生活の活性化に大きな影響を及ぼし、国のリサイクルへの取組み要請、企業のリサイクルへの取組み強化、市民のリサイクルへの理解の高まりの受け皿になる施設を持たない地域は、地域間競争にも大きなハンディとなることは間違いない。したがって、「なぜ神戸港なのか」という否定的ニュアンスではなく、「なぜ神戸港に作れないのか」という肯定的な姿勢が重要と考える。

 

【経済性、競争力の評価に関して】

しかし、何がなんでも神戸港にリサイクル拠点整備をしなければならないという議論に持ち込むのは短絡しすぎており、そこには関西地域の他地域の候補との冷静な比較や経済性の評価、行政のリサイクル拠点整備への取組み姿勢などに対する表-6・1中の4]〜8]の指摘がなされるのは当然である。廃棄物の処理・再生は大きな付加価値を生む産業でないことは自明であり、廃棄物の収集・運搬はコストミニマムを求めなければならない。その意味では、都市圏の中心に位置し、低・未利用地の多い港湾地域は、後背地産業集積や消費者に最も近く、収集・運搬コストをミニマムにできる合理性は有している。そのうえ、広域の廃棄物や再生品の集配送に関して陸・海の輸送手段を複合的に利用できるという点や、都市圏の中心でありながら住民居住区とは一定の距離を置いているという優位性の可能性も有している。したがって、この優位性がリサイクル事業者にとって、どのような影響を及ぼすのかという検証は、今後さらに検討を深めていく必要がある。

 

 

 

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