はしがき
本報告書は、財団法人 日本船舶振興会の平成11年度補助事業として実施した『海上輸送促進を目的とした海陸空統合物流システムの構築に関する調査研究』事業の成果をとりまとめたものである。
大阪湾ベイエリアはわが国最大級の国際貿易港である神戸港、大阪港や急激に国際貨物量の取扱を増やし国際航空拠点化が進む関西国際空港がある。さらに、都市型空港としてポテンシャルの高い大阪国際空港や今後、整備が計画されている神戸空港がある。これら国際物流拠点は阪神高速道路でネットワークされる等、大阪湾ベイエリアは海上、陸上、航空における物流モードを効率的に活用できる地域になっている。
しかしながら、これら物流モードを活用した複合的物流は、現状では一部重量物のシーアンドエアーを除き展開されておらず、個別の物流モードでの効率性が追求されているに過ぎない状況にある。
一方、わが国の企業はグローバルな競争に対して、物流に対する効率化、戦略的活用を進めてきており、物流情報への投資、サプライチェーンマネジメント等の物流新システムの導入などを積極的に進めてきている。これら企業では様々な物流モードを商品特性、顧客特性に応じ柔軟に活用し効率的な物流を展開している。
そこで、本調査事業では、大阪湾ベイエリアにおける民間企業の物流効率化の観点から、海陸空の複合物流モードの総合的な効率活用と新たな物流システムの潮流を念頭に置き、その活用方法、また、実現化に向けた方策の提案等を検討したものである。特に、具体的な検討を行うため、本調査事業では大阪湾ベイエリアの中でも神戸地域を対象とした検討を実施している。
この調査研究が、大阪湾ベイエリア地域における総合的な物流の効率化に寄与することにつながれば幸いである。
最後に、本調査研究にご指導を賜った調査研究委員会委員長 大阪産業大学 教授 三木楯彦氏をはじめ、委員の方々に深甚なる感謝の意を表する。
平成12年3月 財団法人 新産業創造研究機構
理事長 大庭浩