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その後、細胞死までの時間は短い。すなわち、急性毒性による細胞死である。従って、細胞死の様式としてはネクローシスに分類すべきものであろうが、形態はアポトーシスを起こした細胞によく似ていた。

そこで本節の結果もふまえてもう一度強調したいのは、LDH試験と細胞増殖の阻害活性試験では感度に違いがあること、そして両方を行うことで細胞株間の感受性の違いなども明らかにできる点である。試験の性質をよく知って使い分けることが重要である。

C18カートリッジカラムを用いる方法は、時間はかかるけれども(カラムに海水試料を通す部分だけで1000分、約17時間かかる)、方法は単純で紛れがないため高い再現性が期待できる。そして、今回の標準物質的な意味で採用した3種類の化学物質のうち、トリトンX-100を除く2種類について、きちんとした濃縮と溶出を行うことができた。濃縮方法の基本骨格についてはこれで確立したと考えてよいと解釈している。

また、上でも述べた生物毒性に対する検定法として採用した2つの方法は、簡便性と感度の点で水準以上であったと考えられる。課題は残しているが、濃縮方法とも考え合わせて、本年度の目標であった「簡便、かつ高感度な測定法の確立」はある程度達成できたと思われる。

 

注:結果をまとめるにあたり参考にした文献はあるが、本報告書は論文の体裁をとっていないため、特に文献の引用は行わなかったことを注記する。

また、本研究の遂行の過程で専門家の先生から幾つも御助言を賜り、研究内容に反映させた。しかし、助言の多くは口頭でのもので、内容については筆者のメモから起こしたものである。従って、記述内容が先生の助言と異なっている場合もあり得る。そのような時に誤解をさけるため、あえて「私信」の形での引用は行わなかった。御容赦をお願い致します。

 

 

 

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