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この操作では溶媒ごとで揮発性などの性質が異なるため、濃縮度を揃えられるように捜査時間の長さを変えたりしながら行うことが重要であった。特に、エーテルは揮発性が高く、室温に放置すると短い時間でも量が大きく減少するため、1mLまで濃縮できた段階で直ちに密栓をして、-20℃で保存した。

この後、結果で述べる「濃縮倍率」については、今回は以下のように考えている。すなわち、「試料の最初の量が5L(5000mL)であり、化学物質が一様に混合していると仮定する。そしてこの物質が全量カラムに捕捉された後、4種類の溶媒のうちの1種類のみに全量が溶出されたと仮定すると、溶媒は最終的に1mLに濃縮されるから、5000mL分が1mLになるということで濃縮倍率は5000倍になる」

現実的には上の仮定のようにはならない。しかし、物質が不特定であり、含まれる量も未知の段階で始める沿岸海水試料の測定では、半定量的な評価ながら上記の「濃縮倍率」のような基準を設けることが必要であろう。

そして、培養細胞の検定系に添加する場合、これらの濃縮画分を1%となるように加えるので、最終的な濃縮倍率は50倍となる。

 

【結果および考察】

1. ペンタクロロフェノールを添加した人工海水・濃縮画分の培養細胞に対する障害性

標品のペンタクロロフェノールを用いてLDH試験を行った時と同様に、ペンタクロロフェノール濃縮画分についても、細胞障害性を検出することができた(図32〜図34)。そして溶出溶媒の違いによって明らかに細胞障害性が異なったことから、ペンタクロロフェノールはC18カラムに一度吸着した後、そのほとんどがエタノール/エーテルの混液によって溶出されたと考えられた。

 

 

 

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