以上の運航量予測に基づいて推定される燃料消費量の将来予測として運航量が増加しない場合をtable 35に、増加する場合をtable 36に示した。また消費量の将来トレンドをFig.24に示した。図中点線は運航量増加を見込んだ場合を、実線は見込まない場合を示している。
ここでは、船舶全体の隻数およびDWT構成が将来に渡って変化しないものと仮定した。従って、30年の船齢を迎えた船舶から自然代替が進み、35年で全て代替を終了するものとした。このため、table 35に示す平均稼働日数でわかるとおり、2017年付近において、タンカーおよびコンテナ船では船腹数の不足が生じる。ここでは、船腹不足数は全て各船種の最大船型で補われると仮定した。
輸送量の伸びを見込まないcase1では、船舶の自然代替による効果を、船齢船型比が異なる船種ごとに計算していることになる。case1ではタンカーの自然代替の効果が大きい。これは新型タンカーの燃料消費量節約の効果が大きいこと、旧型船の占める割合が他の船種に比較して大きいことによる。その結果、全体でも2010年前後において1997年比10%弱の燃料消費量の減少が見込まれる。一方、輸送量の伸びを見込んだ場合、2010年前後での減少はほとんど見込めない。
船腹数の増加をシミュレーションに組み込むためには、増加するDWTの総トン数階級内での割合(隻数比率)、あるいは造船能力を考慮した上で、どのタイミングから増加傾向を組み込むか、などの情報が必要である。同時に日本国由来の排出量については、中近東からインドネシア方面への輸入先の移行(マイル数の減少につながる)など、輸送マトリックスの将来予測が必要である。今後の詳細な検討にはタンカー運航の経済的評価や造船能力の将来設定など、経済的側面での情報と、将来の国別エネルギー政策についての情報入手が不可欠と考えられた。