3.2.2 船体側(船型および推進機)による改善策
船体側の輸送性能を(1)式で定義されるεで表す。ここでεは船体をある速度で運航するのに要するエネルギー原単位を表している。εは(2)式に示すように分解される。
ε=総エネルギー消費量(kca1)/仕事量(ton*?) (1)
(2)式において、εHがエネルギー原単位のうち船体側の性能を示す指標といえる(値が小さいほど経済性の高く燃料消費量の少ない船体)。
Fig.17に示すように、タンカーでは、10万DWT以上の大型タンカーのεHのほうが、2-10万WDTの小型タンカーのεHよりも小さな値を示しており、大型タンカーの方が船体として効率が高いことがわかる。また、建造年による変化は、主機ディーゼル熱効率の建造年による変化ほど大きくないが、大型タンカーでは15%程度となっている。なお、他の船種においては、εHは近年悪化の傾向が見られる。これは、近年の貨物船においては重量物運搬が多いため、幅広の船型の採用と高速化によるものと考えられる。逆に、仮に今後石油事情の変化などで、タンカーにおいても高速化が要求された場合、長期的にはεHの高い船型が設計される可能性もある。