本調査研究では、省庁の枠にとらわれることなく、21世紀の海洋のあり方を議論できた。新たな発想を求め自由な議論を行うためには、省庁の枠から独立した本調査委員会のような仕組みが必要と考えられる。
(3) 横断的視点その3:国際的な視点
国際社会の中で、21世紀の海洋を捉えようとすると、相反する2つの面に突き当たる。一つは、経済水域の活用や安全保障などにみられる国益を重視するという視点である。もう一つは、地球的規模の環境問題への対応に求められるような国際協力を重視するという視点である。いずれにせよ、国内の狭い視点ではなく国際的な広い視野から、今後の海のあり方を考えなければならない状況にある。この傾向は今後ますます強くなることが予測される。その際、海外との情報交流は極めて重要であり、なかんずく人的な交流ルートを持つことの意義は大きい。
今回の海外調査では、一線に立つ研究者と有意義な意見交換の場を持つことができた。このような人的な関係は、グローバルな海洋開発研究には極めて有用であり、継続してこそ意味があると言える。