(2) 海洋分野への新技術の活用に関する検討
21世紀における海洋の利用ニーズは、下記の3つに分類できることがわかった。
1] 21世紀の諸問題を解決する場としての海洋の利用ニーズ
本調査の問題意識でもある「21世紀の社会的な諸問題を海の利用を通して解決しよう」というものである。いわば「社会的なニーズ」として海の利用を捉えるものである(表7.1-1)。
2] 技術や産業創造の場としての海洋の利用ニーズ
これまでの検討のなかで、根本まで遡れば上記の社会的なニーズに根をおいているものでも、現状ではその技術開発の意義が大きく「技術ニーズ」として一定の意味を持っているものである(表7.1-2)。
3] 科学研究の場としての海洋の利用ニーズ
前2項以外に、研究の対象としての「海洋」も存在する。いわば「科学的なニーズ」と考えられるものである(表7.1-3)。
(3) 海外における海洋技術開発の調査
本調査では、欧州および米国・カナダにおける海洋関連の技術開発の現状をのべ4週間にわたり実施に調査した。その結果、欧米では以下の姿勢で海洋の研究に取り組んでいることが明らかになった。
・海洋開発に対して、国家レベルで明確な指針をもち、これに基づいて戦略的に海洋開発に取り組んでいる。
・海洋開発に対して、事業化ないし経済的視点が明確である。
・研究開発の場においては、産・官(軍も含む)・学の連携システムをうまく機能させている。
・海洋観測に対しては、より総合的に捉えようとしている。
・戦略的な研究課題としては、「海洋のもつ知識・情報に基づいた展開」や「深海の高度利用」などが挙げられる。