(3)曝気
曝気は撹拌等によって海水中に強制的に酸素を送り込む技術であり、環境改善事業、漁場環境整備事業として、護岸を砕波時に水中に空気が取り込まれやすい形状(曝気護岸)にした事例、ジェットポンプ等によって強制的に気泡を送り込んだ事例などがある。
空気混合ジェットポンプを用いた大分県楠本浦の事例(マリノフォーラム21)では、水深19mにジェットポンプ2基(流量1.4m3/分)を設置したところ、運転開始の約1日後からDOの増加が確認されており(図-3.1.5)、DOに対する即効性は高いと言える。また、底質の改善効果については、同様にジェットポンプを用いた長崎県大村湾の事例において、約5ヶ月の運転で底泥表面に酸化層が形成されたことが報告されている(川口、1998)。
効果の持続性については、曝気護岸など波のエネルギーなどを活用する場合には継続した効果が期待できるが、ポンプなど人為的な動力を必要とする技術では、運転を停止するともとの状態に戻ってしまう問題がある。このため、波のエネルギーを活用した省エネルギー型の波動ポンプ等も開発されている(橋詰ほか、1992)。また、局所的に海水を撹拌する技術であるため、広範囲の効果を期待するのが難しいことも課題である。
曝気による環境改善は汚濁物質を除去するものではなく、主にDOの低下という二次的な環境悪化に対する改善策として実施されている。酸素供給効果については、酸素の取り込み量、拡散流の混合領域の広さ等から予測することができる。