[汚濁の状況]
有明海の主な汚濁は、赤潮があげられる。貧酸素水塊は形成されにくく、生物の生息を脅かす要因は少ない。
[汚濁の原因]
赤潮の発生原因は流入負荷によるものと考えられるが、埋立てにより多くの干潟が消滅していることから、浄化機能の低下も生じていると考えられる。
また、陸域からの負荷は海湾の大きさに比べ小さく、流入位置も湾内に分散していること、河川の流入部は河口干潟になっていること、湾内の潮位差が大きく、流れが速いこと、干潟や浅場が広く波浪等で鉛直混合が生じやすいことから、夏季においても成層構造が発達せず、貧酸素水塊が形成されにくい。
[生物の状況]
湾内には約30%を占める水深10m以浅の浅海域や広い干潟が存在し、定着性の底生生物の生息場が確保されており、漁獲による貝類等の底生生物の取り上げも多く、干潟付近で営まれるのり養殖も盛んで、生物による負荷の取り込み、漁獲による取り上げの仕組みが円滑な状態にあると考えられる。