[汚濁の状況]
伊勢湾の主な汚濁は、夏季に湾央部から湾奥部の広範囲に形成される貧酸素水塊、周年にわたり発生する赤潮、うす状に深い湾央部に存在する有機堆積物があげられ、湾央部や湾奥部の広い範囲で生物の生息が脅かされている。
貧酸素水塊は水深の深い湾央部で形成されはじめ、夏季には湾奥部の四日市港や名古屋港まで広がる。また、苦潮は数年に一度三重県側の干潟、浅場でみられる。
[汚濁の原因]
伊勢湾は、淡水入流量の約8割が湾奥部に集中しており、梅雨で河川流量が増加し、表層水温の上昇する夏季に成層構造が強まり、底質が悪化している湾央部のうす状に深い場所で貧酸素水塊が形成されている。また、赤潮は、木曽三川等から流入する負荷が湾奥部に存在する環流や名古屋港付近の流れの停滞によって湾奥部に留まることが原因となっている。
[生物の状況]
貧酸素水の影響を受けにくい水深10m以浅の浅場は湾内東側の知多半島や湾口部の伊勢市沖に存在し、この場が生物の成育場や定着性の底生生物の生息場となっているほか、プランクトン等を捕食するイワシ類等の浮魚も多く、生物による浄化機能や漁獲による取り出しなど水質浄化に寄与していると考えられる。