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(2)沿岸海域における環境悪化のメカニズム

沿岸海域における環境悪化のメカニズムを図-1.1.2に示す。

沿岸海域は陸域からの負荷が集積される場である。集積され、増大した水中の栄養塩や有機物は、藻類の大量増殖(赤潮)、青潮、貧酸素、底質悪化、透明度の低下などの現象を引き起こし、沿岸海域の生物や水産業、レジャー、景観などに被害を与えている。

環境悪化にかかわる物質収支の変化を模式的に図-1.1.3に示す。

内湾域は閉鎖性が強く海水交換率が低いため、栄養塩や有機物が水中に滞留しやすい。特に防波堤などの構造物で人為的に閉鎖性を強めた水域ではそれが顕著であり、内部生産によってさらに増大した有機物は沈降、分解して底質悪化や貧酸素の原因となり、また、底泥から溶出する栄養塩は藻類の増殖を促進し、赤潮を引き起こす。海域における環境改善技術は、これらの連鎖的、複合的に進行する環境悪化のメカニズムを理解したうえで、その効果的な導入を図ることが必要である。

 

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注) DO (Dissolved Oxygen): 溶存酸素量

図-1.1.2 環境悪化のメカニズム

(環境庁水質保全局、1990)(一部改変)

 

 

 

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