また、数オングストロームの均一な細孔を有し、分子の大きさや形状による吸着選択性を示す分子ふるい炭素(MSC)を利用することで、高いCO2分離性能を持つ吸着剤が開発されることが期待できることから、以下で炭素材として分子ふるい炭素を利用した。
3) りん酸を添加した炭素吸着剤の特性評価
フェノール樹脂を熱分解すると、樹脂内に揮発性の有機物が生成することで空隙が生じ、さらに熱分解を進めることで、均一な細孔を持った分子ふるい炭素が得られる。そこで、フェノール樹脂中にりん酸を添加し、これを熱分解することで、細孔の電荷を制御することを試みた。
市販のノボラックタイプのフェノール樹脂40gにりん酸を10g添加し、エタノールに溶解後、脱泡し、110℃で硬化させた。得られたフェノール樹脂を900℃で1時間、N2雰囲気中で炭化処理を行った。次に、炭化後の吸着剤を1000℃で1時間、CO2雰囲気中で賦活処理を行った。
次に、得られた吸着剤を容器に充填し、CO2回収率を測定した。導入ガスのCO2濃度は8%、N2濃度は92%であり、吸着は196kPaで10分行い、その後、真空に引くことで放出されたガスのCO2濃度測定を行った。その結果、CO2濃度は、15%、CO2回収率は、5%であることがわかった。この試料作製方法では、炭化処理中に、りん酸がほとんど蒸発するので、作製された吸着剤中にPはほとんど残っていないため、CO2回収率は高くなかったと考えられる。そこでPを含まない通常の吸着剤(フェノール樹脂に熱処理等を行うことで作製したもの)にりん酸を添加することを試みた。
りん酸を吸着剤に添着し、3時間放置し安定させてから、120℃で12時間乾燥して試料を得た。(この吸着剤の比表面積は、窒素ガスを使用し、ラングミュア法による測定で1100m2/gであった。)
りん酸を添加した活性炭を、内径φ83×1000mmのカラムに充填した後、真空に引き、CO2とN2の混合ガスを1NL/minで流すことで、圧力を196kPaに上昇させる。
混合ガスのCO2濃度は8%、N2濃度は92%であった。吸着は196kPaで10分行い、その後、真空ポンプで吸着したCO2ガスを脱着させることによってCO2ガスを回収した。真空ポンプで引き始めて40秒(t1)から10分(t2)の間に排出されたガスを回収したガスとした。このガスの組成をガスクロマトグラフィーを使って測定した。回収後のガスの評価はO.98kPaで行った。真空ポンプで吸着したガスを引き始めてから、2.5分後、5分後、10分後のCO2濃度を測定した。その結果を表1に示す。
ある時間t(s)における、回収されたガスのCO2濃度をC(t)とし、回収されたガスの流量をF(t)(NL/s)とすると、t1〜t2におけるCO2回収量(NL)は次式で計算される。