3.3.3 実機用小型CO2分離装置の設計試作と性能評価
1. りん酸を添加した炭素吸着剤の特性評価およびCO2ガス分離装置の設計検討
1) 目的
排気ガス等からCO2を分離、回収する方法として、吸着法、膜分離法、化学反応分離法などがあるが、膜分離法、化学反応分離法は、CO2を分離するのに多くのエネルギーが必要であり、CO2回収率が低い、分離速度が遅いなどの問題があった。本研究では、吸着法を用い、ガスの圧力を変化させることにより、ガスの吸着、脱着を行う圧力スイング法を利用することで、CO2ガスを分離、回収する試験を行っているが、本報告書では、CO2回収率の高い吸着剤を開発することを目的とする。
また、開発された吸着剤を使用してCO2ガス分離装置を設計することを目的とする。
2) CO2回収率を高める方法
活性炭等の比表面積の大きな多孔質構造体にCO2等の回収ガスを吸着させ、定時間後に減圧することによって、CO2を選択的に脱着させ、これを繰り返すことでCO2を取り出し、CO2を回収することを検討している。
これまで、吸着剤として活性炭、ゼオライト等を試みたが、活性炭等の炭素材料が実用材料として最も可能性が高いことがわかったので、炭素材料に改良を加えることを検討した。
従来の活性炭の場合には、その表面にCO2がファン・デル・ワールス力によって物理吸着されるが、その吸着力は大きくはない。また、活性炭における活性点も多くはない。ゼオライトの場合には、その表面の極性は十分大きくなく、吸着力も十分ではない。活性炭の表面が未処理の状態では、CO2ガスが活性炭表面に物理吸着するのみであるが、活性炭に極性液体または極性固体を添加すると、電荷が付与されるので、極性液体または極性固体とCO2の間に静電引力が生じる。この場合、静電引力によってCO2を化学吸着させることで吸着力を増加させ、CO2吸着量を増やすことができる。多孔質構造体の細孔には、一般にミクロポア(20Å以下)、メソポア(20〜1000Å)、マクロポア(1000Å以上)があるが、ミクロポアの表面を極性液体が濡らした状態または極性固体が付着した状態となるように、多孔質構造体に極性液体または極性固体を添加することで、分離および回収能力がともに優れた吸着剤を開発することが可能と考えられる。また、CO2ガスの吸着、脱着を連続的に繰り返すことで、CO2を高い回収率で回収することが可能な装置を開発することが期待できる。
多孔質構造体として活性炭、極性液体としてりん酸を使用することが考えられる。りん酸を添加した活性炭にCO2を導入した場合には、CO2とりん酸が接触することになる。りん酸におけるP-O結合のPは+に、Oは-に電荷を帯び、CO2におけるC=O結合のCは+に、Oは-に電荷を帯びるので、りん酸の+と-の電荷がCO2の+と-の電荷の間で静電引力を生じ、吸着力が増加し、CO2回収率が高まることが期待される。図47に、りん酸添加によるCO2の吸着力増加に関する説明図を示し、図48に天然ガス改質エンジンシステムにおける排ガスからのCO2分離についての説明を示す。