4]セキュリティが確保されたeビジネス展開機会の獲得
造舶Webは、舶用機器ビジネスにおけるポータル・サイトとして、参加各社にグローバル規模でeビジネスを展開する機会を提供する。ポータル・サイトについては、既に3.?において述べたとおりである。
造舶Webは、舶用機器ビジネスを通じて造船所・舶用機器メーカが集う場である一方、造舶Webの基本機能として暗号化や認証が提供されるため、ビジネスインフラとしての信頼性が確保されている。したがって、参加各社の工夫次第では、造舶Webのネットワークを介してさまざまなビジネスチャンスを創造できると期待できる。例えば、以下のようなビジネスチャンスがあろう。
・自社のノウハウ・固有技術を活かした業務アウトソーシングサービス(設計代行等)
・ノウハウ・技術の需要と供給をマッチングさせるビジネスハブサービス
・機器・部品調達時におけるグローバル入札
・過剰在庫・中古機器の取引マーケット創設
(2) ステップ2:交換データを起点としたデータ再利用の促進
電子データの最大の特徴はその再利用可能性にあり、造舶Webの成功は、企業間のデータ交換実現だけでなく、交換データを社内で幅広く活用できるかどうかにかかっている。造舶Webの所掌範囲は、情報表現形式と交換規約を策定し企業間の情報交換をサポートするところまでであり、データ活用に向けた社内の仕組み作りは参加各社の所掌である。交換データの社内再利用促進というステップ2のレベルを達成するために、参加各社では以下の取り組みを行う必要がある。
・5.?で述べた接続方法に基づく造舶Webシステムと社内システムとの接続
・電子的交換により入手したデータを、転記・再入力することなく設計他関連各部門で再利用できる業務の仕組み・システムの整備(社内ワークフローの整備)
2章において、造舶Webの業務施策14テーマについて具体的な効果を整理すると、「業務の連結」と「情報の共有化」の二つに大別できることを述べた。この2つの期待効果を現実のものにするためには、企業間の情報の電子的交換だけでなく、社内の情報フローをスムーズにする先の2要件に対する取り組みが不可欠である。
さて、ステップ2における最大の効果は、情報の迅速かつ確実な伝達による社内部門間・業務間の連携改善である。
造舶Webを通じて入手した交換データをインプットとして、それを関連部門で多重的に利用できる業務及びシステム環境を整備することにより、データ転記・再入力等の人手作業が不要になる。