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(3) 情報システム施策

情報システム施策は、業務施策実施上のシステム化要件を定義したものである先の目標施策体系上のシステム化要件とともに、情報交換システムの仕様検討に対する要件提示、インプットとして位置づけられる。

 

4.3 企業間新業務フロー

 

企業間で交換される情報の標準化をデータ項目レベルで行うためには、その前提として、何を交換するのか、また業務のどのタイミングで交換するのか、を合意することが必要である。そこで、造舶Webでは、造船所・舶用機器メーカ共同で「企業間新業務フロー」と呼ぶ業務フローを作成し、企業の枠を超えた標準的な業務の流れを定義した。新業務フローは、造舶間の設計・技術情報交換における標準的な情報の内容と交換のタイミングを表現したものである。

企業間新業務フローの例を図4-4に示す。品目別の企業間新業務フローについては、別冊「舶用機器25品目標準化最終案」を参照されたい。

フローを構成する業務やその流れは、一見従来と変わらないように見えるが、あえて「新」業務フローと呼ぶ理由は以下の4点である。

1]図中の矢印で示す企業間の情報交換が電子データ交換に変わることに大きな意味がある。従来の紙や電話をベースにした仕事の仕組みに比べ、スピードアップなど飛躍的な業務効率向上を実現する業務フローである。

2]造舶間で慣習的に行われてきた業務のやり方を一般の商慣習に適合させている。例えば、一部品目において、納入仕様書確認後に行われる契約締結のタイミングをメーカ選定後に変更している。

3]造舶間でやりとりされる情報を必要性の観点から根本的に見直し、今まで交換してきたから、といった積極的な理由の見当たらない情報交換は、それを廃止している。例えば、メーカは、納入仕様書と工事図書を造船所に提出しているが、タイトルが変わるだけで内容に実質的な差異が認められないので、納入仕様書のみの提出とし、造船所で確認後それを工事図書とすることにしている。

4]本業務フローは、造舶Webを通じて多数の企業が合意した造舶間で初めての業務フローである。

4.4で述べる標準化データ項目の定義では、この業務フローを前提に造舶間でやりとりされる情報の具体的な内容を検討している。

なお、造舶各社の社内システムの改善・改革は造舶Webの検討の対象外である。したがって、新業務フローは、企業間の情報交換に絞ってその内容とタイミングを定義している。4.1で述べたように、造舶Webの効果を最大化するために、造舶各社において新業務フローを前提とした自社の業務及び情報システムの改善を行うことが期待される。

 

 

 

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